*再会(闇AU) ページ16
この無気力感はいつ以来だろうか。彼は下を向いたまま地に伏せ倒れている人間を蹴り、寒い雪の降る森の中をフラフラとした足取りで歩いていく。道中そんな彼を心配し近寄ったモンスターもいたが、全て塵へと還り宙を舞った。
「人間なんて全員殺してやる」
この身を焦がす程の憎悪もいつ以来だろうか。あの時もう少し速ければ。そう後悔しても何も役に立たない。ただただ罪悪感が募っていくだけだ。
「あぁ…クソッ…」
あの時からどれくらい経ったのか。そう思考を巡らせると最低でも一ヶ月は過ぎているだろうと結論付ける。その間彼は飲まず食わずで、一睡もせずにあの時の人間を探しだし、そして戦った。戦いで魔力の消費をしたが、何かを食べて魔力の回復をしてこなかった彼の体が限界を訴えてきた。もう動くのも億劫な筈なのに、それでも彼は気力だけで自身の体を無理矢理動かした。何度も地に倒れ、魔力を吐きつつも、何とか辿り着いた。そこは初めて彼等、闇AUに出会った場所だ。
「何の為に力を手に入れたんだ、俺は」
大切な時に何も出来なかった自分の無力さに嘆いていた日々があった。力を手に入れても何処かぽっかりと空いた穴が埋まることはなく、むしろそれは日を追うごとにどんどん広がっていった。モンスターを殺した罪悪感から良い夢を見ることはなくなった。そんな彼に救いの手を差し伸べたのが闇AUだった。彼等のおかげでぽっかりと空いた穴はどんどん埋まっていった。良い夢を見る事も増えていった。そんな幸せな日々を壊してくるような物から目を逸らしたかった。理解したくもなかった。それでも彼等の衣類と塵が、彼等の死を彼に主張してきた。近くの木にもたれかかり、ずるずると座り込んでいく。そうすると疲れを蓄積した体は睡眠を取ろうと彼の思考を奥底へと引っ張って行く。魔力が殆どない彼はここで魔力回復をしないと死んでしまうだろう。しかしこのまま死んで彼奴らに会いたいと思った彼にとって自身の死は幸運な事だった。目を閉じ、自分が死ぬのを今か今かと待っていると声が聞こえてきた。
「murder」
あぁ、遂には彼奴らの幻聴までも聞こえてきた。きっとこの幻聴も俺を責め立てるんだ。そう思い何も返さなかったが、体が持ち上げられる感覚がして思わず目を開いた。
「寒いだろ?ほら、帰ろう」
夢にまで見たその姿に思わず泣きついてしまった。子どものように泣きじゃくる彼が泣き止むまで、彼等は慈しむように抱きしめ合った。もう誰も失わないように。
37人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
enmkssptoad114(プロフ) - たまに狂うG√行けないプレイヤーさん» リクエストありがとうございます!そして遅くなってしまって申し訳ないです、あんな感じになってしまいましたが物足りないと感じられたらもう一ページ増やそうかと思います、お待たせしてしまって申し訳ないです (2019年4月7日 17時) (レス) id: ca3c8adc3d (このIDを非表示/違反報告)
enmkssptoad114(プロフ) - 塩分さん» 返信が遅くなってしまって申し訳ないです、リクエストありがとうございます!ネタは思い浮かんだので数日以内には出せるかと思います、本当に遅くなってしまって申し訳ございません (2019年4月7日 17時) (レス) id: ca3c8adc3d (このIDを非表示/違反報告)
たまに狂うG√行けないプレイヤー - リクエストです!夢主ちゃんが足しびれて光au達がどうするのか見たいです! (2019年1月31日 13時) (レス) id: 7baff73ad2 (このIDを非表示/違反報告)
塩分 - リクエストで闇 au の誰かがソウルレスになった のが見たいです!! (2019年1月2日 17時) (レス) id: fb66892a45 (このIDを非表示/違反報告)
enmkssptoad114(プロフ) - アキサさん» 返信がかなり遅れてしまって申し訳ないです…dust君良いですよね!私は一番好きです!いえいえ、私の所では暴れてくださっても構いませんよ!私も闇AU好きです!アキサ様初めてのコメントありがとうございました! (2018年10月24日 13時) (レス) id: 125e861b1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:YO!LO! | 作成日時:2018年3月30日 9時