奇妙なAU達の短編集

＊幸せになるのは難しい Flower fell ページ20

そんな事、とうに分かっていた

俺以外のモンスター達は地上に出ていった、7つのニンゲンのソウルを使ってバリアを破って。そしてモンスター達は遂に手に入れた、長年願っていた物を手に入れたんだ。何も無い、誰一人いない荒れ果てた地上を
そんなのはもう昔の話だ、荒れ果てた地上でも生き残ろうと他のモンスターは地下世界から消えていった。兄弟に地上で働けと話を何度も何度も持ちかけられている、現に今日も来たのだ、昔の事は忘れて前に進めと
それでも今の俺は地下世界から動けないでいる



『お前変わったニンゲンだな』

もう何度目かは分からないが、飽きる事無く顔に花が咲かせたニンゲンに話しかけた時の事を思い返す。初めはただの面白さだ。顔に花を咲かせ、腕に花のモンスターを巻き付けたニンゲンがどうやって死んでいくか、どのような方法で7人目に加わるのかと。暇潰しにその過程を見てやろうと思い着いて行った、7人目に引き込んでやろうと
だが、あのニンゲンの優しさに触れた時、あのニンゲンの柔らかな笑顔を見た時、今まで感じたことの無い幸福感がソウルを満たしていく感覚に俺自身が動揺した。ニンゲンに惹かれるだなんて、思いもしなかったんだ
それからは俺なりに必死に守ってきたつもりだ。ニンゲンに死んで欲しくないからと、もうこれ以上花を増やしてはいけないと。俺が最前線に立つことで、少しでもニンゲンの負担を減らそうとした
それでも花は減らなかった。寧ろ進めば進む程道が過酷になり、進むのが困難になり、戻ってやり直す為にニンゲンがRESETし、花が増えていく一方だった
もうこれ以上進むとニンゲンの命が危ない。そう思った俺は、もう目の前が花で覆い尽くされたニンゲンにこう言った

『もうこれ以上は進まない方がいい、お前には悪いが、地上に帰るのは諦めた方がいい』

そう言ってもニンゲンは先に進もうとした、それでも進んでほしくない俺は必死になった

『もう無理だ！諦めろ！これ以上進むとお前が死んじまうだろ！死んだら何にもならねぇぞ！』

肩を掴み、強く言い聞かせてもニンゲンは進みたがった。だから俺は言うはずの無かった自分の願望をぽつりと呟いてしまった

『頼む……7人目にならないでくれ…』

そう言ってもニンゲンは前に進むのをやめなかった、変えられる何かをがあるのなら、それを変えたいと

｢A……A…｣

もう涙は枯れ果てたが俺の願望は未だ消えてくれやしない
A…もう一度お前に会えたら、今度は幸せに

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