AU短編集

＊Bonetrnusle様リクエスト(ink&fresh) ページ45

「Hey!ink!」

バン、と扉が大きな音をたてて開かれる。開かれた扉の先にはお世辞でも綺麗とは言えないほど色とりどりのインクで汚れ、足の踏み場も無いほど沢山の資料が床に散らばっている。これでもかとかというほど散らかっている部屋の中心には、筆を持ち絵画の前でぶつぶつと何かを呟いているinkが。こちらが大きな音をたてたというのに気付いていないようだ。こういう時はまた普通に声をかければいいのだろうが、あのfreshが普通にするわけがない。扉を開きっぱなしにし、じりじりと後ろに下がる。そして背が廊下の壁に当たるとそのままink目掛けて思いっきりタックルをかます。

「Heeeeey!!」

「ひゃああああ！？」

inkはいきなりのタックルに為す術もなく、思いきり前のめりになってfreshと共に倒れる。

「俺ちゃんignoreされると辛いYO!」

そう言いぐりぐりと頭を擦り寄せてくるfresh。これだけでも距離感がおかしい気がするのだが、更にinkが距離感のおかしい事をする。

「ごめんねfresh、つい夢中になって」

そう言いinkはfreshの手を握った。握るのは構わないのだが、今inkがfreshにしているのは世で言う恋人繋ぎだ。何故この二骨がここまで距離感がおかしいのか。それは二骨ともソウルレスで、感情や他者との接し方について曖昧な認識しかないからだ。そんな二骨がこの前恋人というものを見てしまった。それもかなりイチャイチャしている、所謂バカップルだ。二骨はそのバカップルを見てしまい、あろうことかこれが人間同士の普通の接し方だと認識してしまったのだ。

「それでfresh、何か用かい？」

inkがそう言うと忘れちゃったのかYO!と言い恋人繋ぎをした手を強く握る。

「every dayしてるドラマ鑑賞だYO!」

この二骨は普段、ドラマを見て他者との接し方について勉強している。漫画でも良いのではないかとも思うが、ドラマの方が声に抑揚がありこういう場面ではこう言えば良い、というのが分かりやすいのだ。

「こういう時は悲しいんだ」

「俺ちゃん達もcried方が良いのかYO?」

inkがその質問に対し唸っていると、テレビに映っている人間が唇と唇を合わせた。その行為に二骨は頸椎を傾げた。

「これは何だYO?」

「キスだって」

二骨がじっとお互いの顔を見つめたかと思うとゆっくりと近づけていく。まさかのまさか。この二骨はそれを試そうとしているのだ。そして最悪な事にこの部屋には二骨を止める者は居ない。OMG。この後どうなったのかは…ご想像にお任せしよう。

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