AU短編集

＊雪宿り(horror) ページ21

(今回はhorrorsans視点です)


人間にとっちゃ、雪ってのは寒いもののようだ。目の前の人間なんか寒さで可哀想になるくらい、酷く震えている。いや、恐怖で震えてるのか？まぁどっちでもいいけどな。俺がリズムを取りながら机を鳴らしているとあの人間が近づいてきた。よく近付けたなそんなに震えているのに。何だ？俺の上着が欲しいのか？それとも腹が減ってるのか？

「あっ、あの…！そ、その…えと…」

大声で話しかけてきたかと思えば、どんどん声が小さくなって聞き取れなくなっていく。俺は机をリズミカルに鳴らすので忙しいんだ。だからなるべくはやく会話を終わらせたい。そう思い目線を人間の方に向ける。一目見た感想は、まぁ、綺麗だな。この世界には不釣り合いなくらいに。

「貴方のお名前はなんですか！」

予想以上に自分の声が大きかったのかビクッとした後にごめんなさいと小声で言われた。自分の声で驚く奴っているんだな。それがおかしくてつい笑ってしまう。

「hehheh…俺はsans。スケルトンのsansだ。お前の名前は？」

「あっ！わ、私はAです！」

俺が名前を言っただけで嬉しそうにするこの人間、Aは単純だな。

「宜しくお願いします！」

そう言ってAは抱きついてきた。いやよく抱きつこうと思ったなこんな奴に。俺血が付いてるんだぜ？しかも俺が今いるのは見張り小屋。血塗れの机を乗り越えてまでやることか？普通。俺が驚きで動けないでいるとAは大丈夫ですか？なんて言ってきた。

「何で抱きついてきたんだ？」

Aがキョトンとした顔をする。俺に何でそんなことを聞いたの？って言いたそうな顔だな。

「友情のハグです！」

どうやらAはうちんくのリアルスターと同じかもしれない。ますますこの狂った世界には不釣り合いだ。この様子じゃすぐ死ぬぞ。兄弟と性格が似ているだけあって、死なれたら俺の精神にきそうだ。それに、もしかしたら兄弟と仲の良い友人になれるかもしれない。もしかしたらなっているのかもしれないが。そうだとすれば尚更死なれたら困る。

「なぁ、雨宿りならぬ雪宿りをしていかないか？外は寒いだろ？」

俺がそう言うとAはどんどん笑顔になっていく。

「本当ですか！？ではお言葉に甘えてお邪魔させてもらいます！」

俺が殺さないって保証はないのに着いてくると言ったAは他の奴を信用しすぎてる。こりゃ先には進ませられないな。一生な。

「それじゃ、怠けながら一緒に雪宿りしようぜA」

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