239.鏡合わせの二人 ページ9
「急に触るんじゃねぇよ。もすこしだったってのに。」
ブツブツ文句を言いながらも、もう一度結界を作ろうと
そのひたむきな姿にオラは感心したように口を開いた。
「エンマ大王ともあろう者がオラに教えを請うなど、どうなる事かと思うとったが…。いやはや、諦めを知らぬのう。」
するとエンマ大王はニッと歯を見せて笑う。
「当たり前だろ。これはAを守る事にもつながってんだ！諦めてたまるかよ。」
それを聞いてオラはAの事を思い出した。
「…Aも決してあきらめずにオラを説得しとったのぅ。」
かつてオラに誘拐されたAは、エンマ大王に対するオラの誤解を解こうと必死に説得を続けた。
(そんな所も似ておるのかの…。)
夫婦というものは時として鏡合わせのように同じことをすることがある。
それは行動だったり考え方だったり…。
この二人が諦めずに立ち向かうのは、相手の為に何かしたいと思うからなのだろうか。
「のう。」
「ん？」
オラの問い掛けにエンマ大王はチラリとこちらに目を向ける。
オラは思いきって今までずっと気になっていた事を訪ねてみた。
「なぜ…オラをこの屋敷に置いてくれたのじゃ？」
するとエンマ大王は一瞬目を見開いた後、さも当然のように言い放つ。
「そんなの、お前がここにいたいって思ったからだろ？お前が決めた事だ。」
その言葉にオラは息を飲んだ後、わっはっは…と大声で笑い出す。
その様子をエンマ大王は不思議そうに見つめていた。
「そうじゃな、オラが決めたんじゃった。」
「それ以外に何がある。…変なやつだな。」
ジトッとした目を向けるエンマ大王に、オラは益々笑いが止まらなくなる。
(まさかAと同じ事が返って来るとは…。まったくこの二人は…。)
オラのしたことは赦されることじゃない。
それでもこの二人は赦し、その先の道を示す。
しかもそれが当然であるかのように…。
(敵うわけがない。)
笑いながら涙で前が滲む。
初めて愛しいと想った娘は、初めから手の届かない存在だったのだ。
その現実に胸の奥がズキンと痛んだが、オラはそれを悟られぬように笑う。
横ではエンマ大王が怪訝そうにオラを見つめていた。
――――
仲の良い夫婦とは、好きな事が一緒より嫌いなこと(許せない事)が一緒の方が長続きするのだそうです。
許せる事が一緒なのも素敵ですね。
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (
レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人ｼﾘｰｽﾞから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます！好きです！頑張って下さい！ (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・！ (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました！本当に好きですｯ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります！更新頑張ってください！なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです！ (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湖月さくら | 作成日時：2020年4月5日 22時
