237.今、ここに思う ページ7
気付けばオラの口からは言葉がこぼれ落ちていた。
「何故おぬしはオラがここにいる事を許したのじゃろうな。」
親父である大僧正からの依頼とはいえ、オラのことを受け入れ、この屋敷に居場所を作ってくれたのは紛れもなくAだ。
するとAはキョトンとした目でオラに振り返った。
「私は何もしていないわ。ここにいることを決めたのは高林坊でしょ?あなたの志が全てよ。」
さも当然のように言ってのけるAに、オラの方が目を丸くする。
それからAは柔らかく笑うと優しく言葉を繋げた。
「失敗は誰にでもあるもの。大切なのは次にどうするか、よ。てんぐの森の皆の為に頑張っているんでしょう?理由ならそれでいいじゃない。」
一族のため、だからここにいる――ただそれだけだと言うAに、ホッと心が温かくなる。
――オラがここにいる理由はそれだけじゃない。
――おぬしがここにいるから…。
そう告げたらAは目を丸くして驚くのだろうか。
それとも嬉しそうに微笑むのか…。
その答えは分からないが、ただ一つ確かなことがあった。
「…おぬしとも約束したしの。」
あの日てんぐの森で約束した。
Aを誘拐した事を悔いたオラに、Aは自分自身を磨けと言った。
――『もし自分が許せないと言うのなら、これからもあの修業、続けてね。この森の皆の為に。…なにより高林坊自身の為に…。』
今でもあの日のAの声が耳に残っている。
「フフフ…、そうね。」
同じように思い出したのだろうか、Aは嬉しそうに笑うと大きく頷く。
ただそれだけのことでオラは全て許された気持ちになっていた。
―――――
高林坊との約束については『エンマ大王のヨメvol.4』に出てきます。
ご参考までに。
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人シリーズから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます!好きです!頑張って下さい! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました!本当に好きですッ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります!更新頑張ってください!なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2020年4月5日 22時