249.本音と建て前 ページ19
「柳子丘と何の話をしたんだ?何を言われた。」
「なにもないわよ。」
「うそつけ。だったらお前、なんでそんな辛そうな顔、してんだよ。」
(ぜってーなんかあったはずだ。そもそも柳子丘がAの所へ話に来るだなんて不自然すぎるだろ。)
納得のいかない顔で憮然としているオレの視線に耐えかねたのか、Aはポツリポツリ話し始める。
「…大したことじゃないの。ただ、エンマくんもそろそろ他のお嫁さん、貰うんじゃないかなーって。」
「は?」
本日二度目となる、思いもよらない言葉に、オレは目を丸くして絶句する。
(なんだそりゃ!?どこをどうしたらそんな話になるんだよ。)
怒りにも似た感情が湧き上がる中、オレははたとある事を思い出した。
最近屋敷内で囁かれている噂話。
オレ達に子供が出来ないからと、新たなる妃を望む声。
(もしかしてAの耳にも届いていたのか?)
オレは頭をガシガシ掻くと大きな溜息をつく。
「お前はどうなんだよ。」
「え?」
「それを聞いて、お前はどう思ってるんだ。」
そう尋ねるとAはキュッと唇を噛みしめたまま、黙りこくる。
そしてしばらくすると消え入りそうな程小さな声で呟いた。
「…仕方ない事だもの。私達に子供が出来ないのは事実だし…。ちゃんと理解してるつもりよ。」
俯いたまま顔を上げようともしないAにオレは低い声で問い掛ける。
「そんな顔してんのに…か?」
「…っ。」
その途端、Aの目からポロポロと涙が零れ落ちる。
それはまるでAの不安を表しているようでオレの胸はズキンと痛んだ。
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人シリーズから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます!好きです!頑張って下さい! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました!本当に好きですッ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります!更新頑張ってください!なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2020年4月5日 22時