248.その心ノンストップ ページ18
その夜、オレはいつになく緊張していた。
Aに『駄目』と拒否されたあの日から、オレはAに手を出せずにいた。
Aは表面上にこやかに笑みを浮かべてはいるものの、その瞳の奥は何かに怯えているようで、オレはキス一つ出来ず、ただAを抱き締めて眠るのが精一杯だった。
(Aが足りなさすぎる…。このままでは無理やり襲いかねない。)
そう己の限界を感じ、この状況を打破しようと決意してみたものの、その一歩が踏み出せない。
状況を変えるにはオレからあの話を切り出せなければならなかったからだ。
(正直に話した所でAが心配すんのは目に見えてるし…。かと言ってこのままでは…。)
悶々と考えながらベッドに腰掛けて俯く。
そんなオレの様子に気付きもせず、Aは黙々と就寝支度を進めていた。
「…A。」
「ん?なぁに?」
オレの呼びかけにAは振り返って曖昧に笑う。
その表情に寂しさが隠れているようで、オレは今すぐ抱き締めたい衝動を必死で堪えていた。
「あ…、いや。今日はお前、なにしてたんだ?」
いざ話を切り出そうとしても臆病風に吹かれて話を続けられない。
オレが当たり障りのない事を聞くと、Aはゆっくりとベッドの方へ近づいて来た。
「今日は女官長の講義があって…。そのあと柳子丘さんが来て少しお話をしたわ。」
Aの口を次いで出た、思い掛けない人物の名にオレは目を丸くする。
「柳子丘と…!?何か変な事されなかったか!?」
するとAはキョトンとしてからクスクスと笑う。
「何もないわよ。へんなエンマくん。」
Aの答えにホッと胸を撫で下ろしていると、Aはフッと寂しそうな瞳をする。
その瞳が気になってオレは更に言葉を繋げた。
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西 - この方角に福があるはずです
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人シリーズから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます!好きです!頑張って下さい! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・! (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました!本当に好きですッ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります!更新頑張ってください!なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2020年4月5日 22時