247.希望へと続く道 ページ17
静かな部屋にイキジビキ殿の声だけがこだまする。
「A様は私のしたことは赦されることではないが私自身に罪はないとおっしゃった。だからこそ自分に仕え、力になって欲しいと言うのじゃ。そんな事今の一度も考えた事はなかった。」
イキジビキ殿の言葉を聞きながら考える。
確かに地獄に落ち苦痛を得ればそれはそれで罪を償う事になるのかもしれない。
しかしAは違った。
ひと時の苦痛よりも協力の道を選んだ。
それは互いに前へと進む唯一の道なのだろう。
オラの時もそうだ。
誘拐したオラをAは赦し、使命を与えた。
自らを磨くことで「てんぐの森」の発展を示せ、と。
辛い目に合されて憎いであろう相手に、何故そこまで出来るのか…。
「この世は憎しみだけでは進んで行けないのかもしれぬ。」
静かに響くイキジビキ殿の声にオラはゆっくりと顔を上げる。
見るとイキジビキ殿はまるでAのような優しい目をしていた。
「人も妖怪も傷つけ憎しみ合い、闇へと落ちていく…。しかし憎しみの連鎖になんの意味があろうか。いつかどこかでその連鎖は止めねばならぬ。A様はそんな負の連鎖を断ち切る力を持っておられるのじゃ。そしてその力をエンマ大王様も認めておられる。」
それからイキジビキ殿はにっこりと笑う。
「私はエンマ大王様とA様の作る世界を見てみたいと思った。それが私の考える正しい道なのかどうかはわからぬ。しかし希望へと続く道だと私は信じておるのじゃ。」
「希望への道…。」
イキジビキ殿の言葉を反芻するとそれは何故かストンとオラの心に落ちた。
Aはあらゆる者の罪をも赦す。
イキジビキ殿もオラも、そして暗殺者であったパント・ルーも…。
そしてエンマ大王もそれを理解し、また赦す。
赦し、手を取り、支え合っている…。
そんな二人がこの妖魔界の頂点に立っているのだ。
(敵うはずもない…。)
オラは心の中でそう呟いて目を伏せる。
そうだ、オラもイキジビキ殿の言う通り、二人の作る世界を見てみたい。
光り輝く優しい世界を…。
そう思って目を開くと、目の前のイキジビキ殿はオラを見て静かに頷いた。
心の陰りが晴れ、爽やかな青空が広がっているようにその時のオラは感じていた。
――――
赦すことの強さと優しさ…、本当に難しい事なのかもしれません。
私も見習いたいです。
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西 - この方角に福があるはずです
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (
レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人ｼﾘｰｽﾞから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます！好きです！頑張って下さい！ (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・！ (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました！本当に好きですｯ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります！更新頑張ってください！なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです！ (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湖月さくら | 作成日時：2020年4月5日 22時
