246.『正しき道』の教え ページ16
Aと一緒の講義の日より幾日か経ったある日、オラはいつもの通りイキジビキ殿の手伝いをしていた。
「この本はそちらへ。」
イキジビキ殿の指示により書庫の本を次々と分類していく。
そんな中、オラの手から本が一冊転がり落ちた。
ハッとして急いで拾おうとしたオラの耳に心配そうなイキジビキ殿の声が聞こえる。
「ここ最近、何をそんなに悩んでおられる、高林坊殿。」
その声に慌てて立ち上がり口を開こうとしたが言葉が出ない。
そんなオラを見てイキジビキ殿はフッと口元を緩めた。
「言葉にならないのなら、ゆっくりでよかろう。無理に話す必要もないぞ。」
イキジビキ殿の慈愛に満ちた声にオラの心は段々と落ち着いていく。
それからオラは大きく深呼吸をするとゆっくりと話し始めた。
「イキジビキ殿の考える『正しき道』とは一体何なのか、ご教授願いたい。」
するとイキジビキ殿はほぅと息を吐いてから懐かしそうに目を細める。
「私はかつて罪を犯した。大臣という地位にある事に胡坐をかき、A様に無実の罪を負わせアミダ極楽へと幽閉した。A様を亡き者にしようとしたのじゃ。」
それからイキジビキ殿は目を伏せる。
それはまるで懺悔のようでオラの心を深く揺さぶった。
「その事が発覚し、大臣の職を辞するだけで済んだのはA様のお陰じゃ。A様は私を自らの指南役にとエンマ大王様に懇願された。その為、私は今もこうしてここにいることが出来る。」
「イキジビキ殿は罪を償う為、この地を離れようとは思わなかったのか？」
オラの問いにイキジビキ殿は眉を下げて苦笑する。
「むろんそう思った。じゃがA様がおっしゃったのじゃ。私の力が必要だと。こんな私に頭を下げてまで懇願した。それがどういう事か分かるかの？」
オラが首を横に振るとイキジビキ殿は楽しそうに笑った。
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西 - この方角に福があるはずです
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湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。ずっとご覧くださいましてありがとうございます。しばらく更新が出来ませんでしたが、これからものんびりと続けていこうと思っています。どうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (
レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - Epiphyllumさん» Epiphyllum様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。恋人ｼﾘｰｽﾞから読んでくださったのですね。跡継ぎ問題、今はこのままでしょうがいつか二人の子どもも描きたいなぁ。ケータくん達との絡みまで続けられたら良いのですが。よろしくお願いします。 (2021年1月13日 22時) (レス) id: 3bf6c87812 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 実はこれ数年前から見てます！好きです！頑張って下さい！ (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 続きを・・・続きをお恵み下さい・・・！ (2020年12月30日 3時) (レス) id: 0f20c8237d (このIDを非表示/違反報告)
Epiphyllum - 本日恋人編からここまで全部読みました！本当に好きですｯ!エンマくんも可愛いし正直跡継ぎとか気になります！更新頑張ってください！なんかそのうちケータくんたちとも関わってくれたら嬉しいです！ (2020年12月28日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湖月さくら | 作成日時：2020年4月5日 22時
