216.ハイスペックがお好み？ ページ12
「『何を願ったのか私にも分からないの』――か。まぁ、これは一種の憶測であって本当にその人魚草のせいなのかどうかは分からねぇしなぁ。」
オレの言葉にAは手を止め、驚いたように口をパクパクさせる。
「『なんで私の言っている事がわかるの？』かよ。そりゃ、オレの溢れんばかりの愛の力の賜物に決まってんだろ！」
フフンと得意気に鼻を鳴らしたオレをぬらりの呆れたような声が追い掛ける。
「何をおっしゃいますか。元々エンマ大王様には読唇術の心得がおありでしょう？大王として身につけるべき技術の一つです。」
それを聞いてなるほど、といった顔の高林坊の横で、Aは尊敬の眼差しをオレに向ける。
「まぁ『地獄耳』というスペックも標準装備ですし、相手の粗を探るといった点では右に出る者はいないのでしょうね。」
「…なんと厄介なスペックだのぅ。」
今度は呆れたような顔をした高林坊をキッと睨み、オレは声を荒げる。
「なんとでも言え。この場においてAの言葉を瞬時に理解できるのはこのオレだけだって事なんだよ！それで全てオールオッケーじゃねぇか！」
「意味がよく分かりません。」
「なんだと〜！」
ガタンと立ち上がったオレを尻目に、ぬらりは飄々とした顔で歩き出す。
「とにかく時間を無駄にしている暇はありません。わたしはいろいろと調べる事があるのでこの辺で。」
スタスタと部屋を出て行くぬらりに続き、オレの睨みに耐えきれなくなった高林坊もそそくさと部屋を後にする。
それに続くようにして部屋を出て行こうと歩き出したAの手を、オレはパシッと握った。
「なんでお前まで出て行くんだよ。」
じっと見つめるとAはオロオロと焦り出す。
それから落ち込んだようにシュンと項垂れた。
沈黙だけが二人きりの部屋を流れているようで、オレはそのままずっとAを見つめていた。
―――――
文中の台詞についてご説明いたします。
・「 」→会話文
・『 』→強調させたい言葉や夢の中での言葉、またフレイアの言葉など、特殊な状況下で使う
・( )→心の中の言葉
今回、声の出なくなったAちゃんの言葉は『』で記しています。
ご参考までに。
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
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湖月さくら(プロフ) - なっちゃさん» なっちゃ様。いつもありがとうございます。そんな風に言っていただけるだなんて嬉しいです。想い合っていても大切にしてても時に苦しい時もやってきます。大切なのはそれをどうやって乗り越えていけるか、なのかもしれません。これからも頑張ります。 (2019年12月31日 7時) (
レス) id: 820cedf0c2 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃ - この夫婦みたいな幸せな家庭つくれたら確かにエンマくんみたいになっちゃうわｗ なんかうらやまし (2019年12月26日 19時) (レス) id: 7e94d5d2da (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - アミュレットさん» アミュレット様。いつもありがとうございます。女郎蜘蛛、可愛いですよね。この作品の女郎蜘蛛も気に入っていただけたのなら嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2019年1月29日 12時) (レス) id: 822a971f0a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット(プロフ) - 女郎蜘蛛、自分も結構好きです(^^) (2019年1月27日 20時) (レス) id: b7b163701b (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - あっきー like u very muchさん» あっきー like u very much様。こちらこそいつもありがとうございます。楽しんでいただけるよう今年も頑張ります。どうぞのんびりとお待ちくださいね。 (2019年1月12日 16時) (レス) id: 822a971f0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湖月さくら | 作成日時：2018年9月3日 2時
