201.君の心に届く空 ページ22
「…ふぃ〜、やっと終わったか〜。」
ぬらりが出て行った途端、気の抜けた声を出したオレにAはフフフ…と笑う。
「仕方ないわよ。ぬらりさんには迷惑掛けちゃったんだし。さっ、早く仕事を終わらせちゃいましょ。」
ぬらりに指示された通り、仕事に取り掛かろうとするAを後ろから抱き締めてオレは耳元で甘く囁く。
「いいじゃねぇか、まだ…。折角二人きりになれたんだしさ…。」
それからAの頬に唇を近付けるオレの口をAの手が拒んだ。
「むぐっ。」
「駄目よ。ぬらりさんに言われたでしょ？真面目にお仕事しなくちゃね。」
「なんだよ、それ…。」
ブス〜っとしてむくれているオレに、Aはくすくすと笑い出す。
その時オレはあの日のAの声を思い出していた。
ーー『お願い、エンマくん…、人間界を、助けて…。』
切なくなるようなAの声。
あんな声をもう二度と言わせたくない。
(笑ってんならそれでいっか。)
そう思いながらAを抱き締めている腕を解き、机に向かって歩き出したオレの背中にAの小さな声が響いた。
「大切な人達をあなたと二人、ここで見守れるのなら、それはきっととても幸せなこと…。」
その声にオレがゆっくりと振り返ると、思った通り、Aは優しく微笑んでいた。
「ありがとう…エンマくん。」
「…おう。」
それからどちらともなく笑い合うと、二人仲良く机に向かう。
窓の外では先程の雷が嘘のように、爽やかな青空が広がっていた。
ーーー
二人が仲良しだと青空になるんですね。
穏やかな青空のように妖魔界も人間界も平和だといいな。
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湖月さくら(プロフ) - 蜜璃さん» 蜜璃様。初めまして。ご覧くださいましてありがとうございます。夢主ちゃんが可愛いと言っていただけてとても嬉しいです。音楽を作っていらっしゃるのですね。作曲の合間にも楽しんでいただけるようにこれからも頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。 (2020年2月3日 16時) (
レス) id: 820cedf0c2 (このIDを非表示/違反報告)
蜜璃 - 湖月さくらさんの作品初めて見たんですけど、夢主ちゃんが可愛いです 私、ボカロ曲を作曲したりしていて、作曲の途中に読んでます。 (2020年1月30日 6時) (レス) id: 05b653ea5e (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - なっちゃさん» なっちゃ様。いつもありがとうございます。生と死はすべての者に平等で、時に冷酷なのかも知れません。だから私はやはり怖いです。それでも日々大切に生きて行けたら…、いつか幸せがなんなのか分かるのかもしれませんね。難しい問題です…。 (2019年12月31日 7時) (レス) id: 820cedf0c2 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃ - なんか正直しぬのも怖くないかもな だってしぬことは同時に次へ進むことなんだと思うし。なぜ選ばれ、生を受けたのかはわからないけど霊体の状態がわたしたちの本当の姿なのではないかと時折思う (2019年12月26日 19時) (レス) id: 7e94d5d2da (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - 彩雪姫さん» 彩雪姫様。初めまして。ご覧いただきましてありがとうございます。楽しんでいただけたようで嬉しいです。公式のエンマ大王様のように格好良く描けたら良いのですが…。頑張りますのでこれからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2018年10月4日 12時) (レス) id: 695ea5332b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湖月さくら | 作成日時：2018年6月6日 1時
