176.願いがキミに届く時 ページ22
「これは勘弁してくれ。オレが悪かったよ…。」
俯いたまま叱られた子犬のように小さくなっているエンマくんに私はクスリと笑みを漏らすと、フレイアがそっと教えてくれた。
『エンマ大王の願い事は“Aに甘えられたい”だっチュ。』
その言葉に私は驚いて目を見開くとフレイアを見つめる。
フレイアは無言のまま頷いた後、ふわりと宙に舞い上がった。
『その願い事を叶える事が出来るのもまた、Aだけだっチュよ〜。』
そう言い残してポワンと姿を消したフレイアに私は心の中でお礼を述べる。
(ありがとう、フレイア…。)
それから私はエンマくんに向き直ると優しく微笑んだ。
「助けてくれてありがとう、エンマくん。」
そんな私に対してエンマくんは複雑そうな顔のまま苦笑いをする。
「まぁ元はと言えばオレのせい、なんだけどな…。」
そうして私の頬に手を添えて申し訳なさそうに眉を下げるエンマくんは、いつもと違ってなんだか可愛らしく見えた。
(いつも堂々として余裕綽々なのに、私の前ではこんな風になっちゃうのね。)
私だけに見せてくれる本当の顔。
弱さも不安も全てさらけ出してくれたら嬉しい。
そう思えるのはやっぱりエンマくんの事が好きだからなのだろうか。
(もしかしたらエンマくんもそんな風に思っていたのかもしれない。)
『Aに甘えられたい』――そんな風に願ってしまう程、私はエンマくんに甘えていないのだとあらためて思った。
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湖月さくら(プロフ) - アミュレットさん» アミュレット様。いつもありがとうございます。その後こうなっています(笑)。エンマ大王様のドキドキを楽しんで…いやいや伝わっていただけたら嬉しいです。これからどうなるのか、どうぞお楽しみくださいね。よろしくお願いします。 (2018年4月29日 2時) (レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット(プロフ) - どうなるのか、ドキドキします! (2018年4月26日 22時) (レス) id: ca1512717a (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - エマさん» エマ様。初めまして。ご覧いただきましてありがとうございます。大好きだなんて本当に嬉しいです。いえいえ、私はまだまだ未熟者でして…。皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2018年4月26日 8時) (レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
エマ - はじめまして。いつもこのシリーズを読んでます。大好きなシリーズです!私もこんなのが書けたらなぁ…。 (2018年4月25日 5時) (レス) id: 31fc5a4b43 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。お楽しみいただけたようで良かったです。果たしてエンマ大王様の願い事は何ぞや…。最後までどうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月19日 1時) (レス) id: 01629e384a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2018年3月11日 3時