171.きっとそれが大切なこと ページ17
「『今回の敵』だっていまだよく分からないのにどうしたら…。」
消え入りそうな声でそう呟いた言葉にフレイアははぁと大きな溜息をつく。
『Aは何の為にエンマ大王のそばにいるっチュか？』
フレイアの声に私はハッとした顔を上げる。
するとフレイアは頭上より私を見下ろしてフワフワと宙に浮かんでいた。
『エンマ大王のそばはAにとってなんだっチュ？』
優しく問い掛けるフレイアに私はあの時の自分の言葉を思い出す。
――『私の幸せはエンマくんのそばにいること。』
――『それに私は幸せが欲しいんじゃない。エンマくんと一緒に幸せになりたいのよ。』
その言葉に私はハッとして目を見開く。
そんな様子の私を見てフレイアは静かに頷いた。
『オイラに大見え切ったあの言葉、実現に近付いているっチュか？』
ニヤリと笑って片目を瞑るフレイを私は優しく見つめる。
「…ありがと、フレイア。私、大切な事、忘れる所だった…。」
大切な事――そう、それは『エンマくんと一緒に幸せになる事』。
どちらか片方が幸せであっても意味がない。
二人で一緒に幸せにならなければ…。
(つまりこの状況を楽しめって事よね。)
悩み事は数知れない。
でもいつまでも悩んでたって始まらない。
だから私は、私の大好きな気持ちをエンマくんに贈りたい。
その為には…。
「まず、着替えなくっちゃね。」
『なんでそうなるっチュか〜。』
ガックリと脱力したフレイアを尻目に私が着替えに向かおうとした時、部屋のドアがガチャリと開いてエンマくんが入ってくる。
「ただいま〜…。」
「エンマく…。」
少し元気のないその声に振り返ってその名を呼んだ瞬間、私の耳元でピキンという音がして頭の中に靄がかかり始める。
(あれ？私…どうして…。)
そう考える事もままならず、私の体は自分の意思とは反対にエンマくんへ向かって歩き出す。
(ちょっと待って！どうなってるの〜〜！？)
そしてそのままエンマくんの首に手を回すと顔を近付けながら目を閉じた。
―――――
途中のAちゃんの言葉は、前シリーズ『エンマ大王の恋人』vol.14に出てきます。
フレイア初登場のお話です。
ご参考までに。
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湖月さくら(プロフ) - アミュレットさん» アミュレット様。いつもありがとうございます。その後こうなっています(笑)。エンマ大王様のドキドキを楽しんで…いやいや伝わっていただけたら嬉しいです。これからどうなるのか、どうぞお楽しみくださいね。よろしくお願いします。 (2018年4月29日 2時) (
レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット(プロフ) - どうなるのか、ドキドキします！ (2018年4月26日 22時) (レス) id: ca1512717a (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - エマさん» エマ様。初めまして。ご覧いただきましてありがとうございます。大好きだなんて本当に嬉しいです。いえいえ、私はまだまだ未熟者でして…。皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2018年4月26日 8時) (レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
エマ - はじめまして。いつもこのシリーズを読んでます。大好きなシリーズです！私もこんなのが書けたらなぁ…。 (2018年4月25日 5時) (レス) id: 31fc5a4b43 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。お楽しみいただけたようで良かったです。果たしてエンマ大王様の願い事は何ぞや…。最後までどうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月19日 1時) (レス) id: 01629e384a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湖月さくら | 作成日時：2018年3月11日 3時
