170.悩みは尽きぬ事ばかり ページ16
その頃私は窮地に立たされていた。
(結局『誘惑』ってどうしたらいいの〜。)
先程女官長から教わった男女の駆け引き術。
女官長から語られるそれらの数々は恋愛初心者の私にとってどれも高等過ぎて目を丸くしている他なかった。
『大王様とはこの妖魔界に平和と安寧をもたらす方。そのような方を日夜影で支えるのが大王妃としての務めです。』
そうはわかっていてもそんな駆け引きなどできそうにない。
マコトくんの時のようなほのぼのとした憧れとは違い、エンマくんは私が初めて心から愛おしいと想った人。
そんなエンマくんはいつだって余裕たっぷりで私の方が翻弄されてしまっている事実はなかなか覆らない。
いつも私はエンマくんに守られているばかりで支えることなんて出来ていなかった。
(もぅ…どうしよう〜〜。)
半泣き状態のまま私は女官長に指示された衣装に身を包む。
それは呉葉さん達が送ってくれたものの中でフレイアが特に気に入っているものだった。
『オイラはやっぱりその服が一番似合うと思うっチュ。』
「そう?」
ぐったりと疲れ果て曖昧な返事を返す私にフレイアはムッとして声を荒げた。
『オイラの見立てにケチをつけるっチュか!?だったらエンマ大王に直接聞いてみたらいいっチュよ!』
(それが出来たらこんなに悩まないわよ…。)
この服を着て、エンマくんに『似合う?』なんて恥ずかし過ぎて聞けるはずもない。
するとフレイアはぷぅと頬を膨らませた。
『大体Aは自分を過小評価しすぎだっチュ。もっと自信を持つべし、持つべし。』
「…そんなの、持てないわよ…。」
えっへんと自信満々なフレイアを横目で見てから、私は姿見へと目をやる。
そこには綺麗なワンピースに身を包んだ今にも泣き出しそうな私が映っていた。
ーーー
マコトくんは前シリーズ『エンマ大王の恋人』に出てきた、Aちゃんの初恋の人です。
もしよろしければそちらもご覧くださいね。
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湖月さくら(プロフ) - アミュレットさん» アミュレット様。いつもありがとうございます。その後こうなっています(笑)。エンマ大王様のドキドキを楽しんで…いやいや伝わっていただけたら嬉しいです。これからどうなるのか、どうぞお楽しみくださいね。よろしくお願いします。 (2018年4月29日 2時) (レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット(プロフ) - どうなるのか、ドキドキします! (2018年4月26日 22時) (レス) id: ca1512717a (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - エマさん» エマ様。初めまして。ご覧いただきましてありがとうございます。大好きだなんて本当に嬉しいです。いえいえ、私はまだまだ未熟者でして…。皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2018年4月26日 8時) (レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
エマ - はじめまして。いつもこのシリーズを読んでます。大好きなシリーズです!私もこんなのが書けたらなぁ…。 (2018年4月25日 5時) (レス) id: 31fc5a4b43 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。お楽しみいただけたようで良かったです。果たしてエンマ大王様の願い事は何ぞや…。最後までどうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月19日 1時) (レス) id: 01629e384a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2018年3月11日 3時