169.不安材料盛り沢山 ページ15
「ふぃ〜、やっと終わった〜。」
ぬらりによる強制仕事地獄をなんとか終えたオレは大きく伸びをして一息つく。
そんなオレの様子を見てぬらりはまた渋い顔をした。
「思いの外早く片付きましたね。やれば出来るじゃないですか、エンマ大王様。」
その言葉にオレは鼻でフフンと笑うと得意気に胸を逸らす。
「オレが本気を出せばざっとこんなもんだぜ。」
「だったらいつも本気を出してください。」
「うぐっ。」
図星を言い当てられ思わず口を噤むとぬらりはじとっとした目で机の上に置かれた本を見つめた。
「ところでそれ、どうしたんです?」
「ん?あぁ、コレか。コレは昼間書簡庫の奥で見つけたんだ。」
「書簡庫の奥…!?」
ぬらりはハッとすると眉間のしわを深くする。
「まさか…この本を開いたりしていませんよね?」
「あぁ開いたぜ。それがどうした。」
するとぬらりはすばやくその本を手に取りパラパラと頁を捲る。
そしてオレに向かって怖い顔で問い詰めた。
「この中に何か入っていませんでしたか?」
「うん?そういやなんか紙みたいなのが入ってたっけなぁ。」
「!…それは今、どこに!?」
血相を変えて詰め寄るぬらりに少したじろぎながらオレは正直に答える。
「それなら七夕の短冊にしたぜ。丁度いいサイズだったしな。」
「なっ、…なんてことを…。」
ぬらりは俯くと口元をわなわなと震わせる。
それからガバッと顔を上げたぬらりは般若の如くに怒り狂っていた。
「あなたは馬鹿ですかっ!折角私が厳重に封印していたというのに!これは『ねがいの短冊』。この短冊に願い事を書くとその願いがかなえられる代わりに体の一部が変化してしまうのです。何が起こるか分からない諸刃の剣なんですよ!どうしてあなたはこうも問題ばかり起こして…。もう私は知りませんっ!」
「お、おい…。」
それだけ言い残すとぬらりはバタンとドアを締め部屋を出て行く。
残されたオレは途方に暮れたまま、茫然とその本を見つめていた。
(どうすんだよ、コレ…。)
―――――
あらら、困りましたね。
エンマ大王様に異変が生じないと良いのですが…。
イタズラもほどほどに(笑)
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湖月さくら(プロフ) - アミュレットさん» アミュレット様。いつもありがとうございます。その後こうなっています(笑)。エンマ大王様のドキドキを楽しんで…いやいや伝わっていただけたら嬉しいです。これからどうなるのか、どうぞお楽しみくださいね。よろしくお願いします。 (2018年4月29日 2時) (レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット(プロフ) - どうなるのか、ドキドキします! (2018年4月26日 22時) (レス) id: ca1512717a (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - エマさん» エマ様。初めまして。ご覧いただきましてありがとうございます。大好きだなんて本当に嬉しいです。いえいえ、私はまだまだ未熟者でして…。皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2018年4月26日 8時) (レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
エマ - はじめまして。いつもこのシリーズを読んでます。大好きなシリーズです!私もこんなのが書けたらなぁ…。 (2018年4月25日 5時) (レス) id: 31fc5a4b43 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。お楽しみいただけたようで良かったです。果たしてエンマ大王様の願い事は何ぞや…。最後までどうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月19日 1時) (レス) id: 01629e384a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湖月さくら | 作成日時:2018年3月11日 3時