エンマ大王の恋人 vol.15【妖怪ウォッチ】

343.間接!?直接!? ページ10

「未成年で酒が飲めないっていうんなら、口をつけるだけでもいいだろ？ほれ、いいから早く注いでくれ。」

「う、うん。」

いまいち納得していないAを見てみないふりをしてオレは酒の催促をする。

つー、とぎこちなく注がれた酒をオレは二度ほど盃を傾けると、三度目に全て飲み干した。

「ん！これ、意外と美味いな。ぬらりのやつ、結構いい酒を用意したな。」

満足そうに口角を上げたあと、オレは盃をAに手渡す。

そしてその盃につー、と静かに酒を注いだ。

「今度はお前の番だ。さぁ、グーっといってくれ。」

「ええ〜。でもこれって間接キ…。」

ゴニョゴニョと口籠るAをにやりと見つめながらオレは再度酒を勧める。

「なにを言う。何度も直接してんだろ？今更間接キスくらいで…。」

「ん、…エンマくんに情緒を求めた私がバカだった。」

「んだよ、それ。」

Aはジトッとした目をオレに向けると躊躇いつつも恐る恐る盃に口をつける。

そしてオレと同じように三度盃を傾けた。

「うへぇ。口をつけるだけとは言っても、ほのかにお酒の味がする〜〜。」

顔を顰めながら盃を置こうとするAの手を取り、オレは直接Aの手から盃の中の酒を一気に飲み干す。

「なっ。」

「うん、美味い。」

やっぱいい酒だな、と思いつつAを見ると、Aは酒も飲んでいないのに顔を赤くしていた。

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