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「せつが話を?」
「二人曰く、だけどね」
秋笛最終回Aパートの収録。スタジオ。
ここに来て節菜はスケジュールが合わずまさかの別日収録らしい。
レギュラーなのにそんなことある?と思ったけど、大事な仕事が入ったそうで、Aパートの節菜のセリフが少ないことから別日で決定していたそう。現場に来て姿がないことに焦っていたのだが、杉田さんが声をかけてくれたことによりその事実が発覚した。
俺に伝えてくれなかったのも気になるけど、余程大事な仕事なんだろうか。
…そして、あの日のことも話を聞けた。
ご飯に誘い、新人二人と色々話したそう。自分が役者を目指したきっかけとか、一オタクとしての関わり方とか、同じような立場の二人に自分なりの意見を告げたそう。
「新人くん二人とも『すごく楽しく飲ませてもらったし、役者としても人間として貴重な話を聞けたし考えさせられたし、奢ってくれたしいい人だった!』って答えてくれたよ。」
「…なんでそれを僕に?」
「いや、榎木くんも雄馬くんも絡まれてたでしょ?塩月ちゃんと仲良いから一応。」
塩月ちゃん、役者としてあの二人を見てて、ちゃんと評価してその上でアドバイスして、凄い子だよ。なんて褒め称える杉田さん。
もしかしたら俺の方が、子供だったのかもしれない。
「…榎木くん、頑張れよ」
「!?……あ、はい」
軽く笑って新人二人とスタッフに声をかけに行く杉田さん。…これはしてやられた。
畠中くん俺を使うとはやるなぁ〜、なんて彼が思っているとは知らなかったが。
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作者名:東城つばさ | 作成日時:2021年7月24日 0時