きっと、ぜったい、だいじょうぶ。ふぃふす。【榎i木l淳i弥】 (ページ29)

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「あーもう是非！うちの子なんかでよかったら…！」

まさか榎木くんだったとは！ヤダーもう！とハイになる母親。

「本当にこの子で良いのかい？僕が言うのもあれだが、変に不器用で天邪鬼で器用貧乏で…」

永遠と謎テンションの父親。

「お、おわぁ、サインもらっちゃった…」

オタク、弟。

「………………………日本は今日も平和だ」

「悟り開かないでよ」

俺てっきり面倒臭い流れかと思ってたんだけど、と零してしまう彼に私も隣で苦笑い。やめてください、ほんと。

冷静になったらプロポーズだってされてないし、結婚しようか以前に同棲とかもあれだけ言ってしてないのに挨拶ってすっ飛んでね？と今になって思うが…。

隣でしっかりと言い切る彼の姿に内心ドキッとしたのはここだけの話だ。言えるものですか。
でもまぁ、そういう姿みてると、隣にこの人がいるのって幸せだなぁと実感する。そして、向こうがそうやって思ってくれていることにも安心する。

「…母さん、一回座ってくれる？」

「あーごめん！話ね、何？」

「…なんか、こんな形になっちゃったし、さっき言った通りまだ同棲もしてないし、お互い仕事柄その、籍とかまではまだ話進められないというか、そのつもりもまだないんだけど。それでも、この人がいいなって、私も、…思って、ますぅ…」

「…節菜」

「お前、いい子に育ったな…」

ママとパパ嬉しくて…！と泣き出そうとする姿に本気でヒヤッとする。恥ずかしいやめてくれ。

「…姉ちゃん、俺この空気キツイんだけど」

「文哉、私もキツイから我慢して。」

「げぇ…」

…俺おじさん達に連絡取ってくるわ、と使い物にならなそうな親を置いて親戚に”今からおばあちゃん家行きますよコール”をかけに行く弟を見て、一番まともに育ったのはコイツだと、何故だかちょっと嬉しくも、悲しくなった。