涙と笑顔の輝く日【卒業限定短編集】

待ってる。【山口忠】ー沖田杏ー ページ12

｢A先輩！！｣




卒業式終わったあと後ろから聞こえる私を呼んだ声。


私より２歳離れたバレー部の後輩、山口忠君。









実は…私の初恋の人だったりする。









｢どうしたの？｣


山口君は息を切らせながら私の前へとしゃがみこんで立ち上がった。



山口｢家まで…送っていきます！｣

｢あ、うん。ありがとう！｣



時々山口君は私を家まで送ってってくれた為、少しは慣れたものの、今日に限ってはいつも以上に嬉しかった。



山口｢卒業おめでとうございます！｣


｢有難うっ。どうしたの？そんなに改まって。｣




私はクスッと笑っていつもより畏まっている山口君を面白く感じ暫く見つめていた。









家が近くなっていったものの、山口君が畏まっている状態は悪化しているかのように顔は少し青ざめていた。



｢あ、じゃぁ家まで送ってってくれて有難うね！｣






そう言って家のドアを開けようとした時…









山口｢A先輩…っと…あの…。｣


｢ん？｣



私はドアを開けようとした手を止め、山口君の元へと行った。









山口｢俺、A先輩の事好きです！｣









｢え…。｣



山口｢俺、A先輩より2つ年下で…あまり頼りないけど…A先輩の事好きなんです！｣







私は唖然とするばかりで言葉が出なかった。



｢えっと…わ、私m｣





山口｢へ、返事は…い、今はいいです｣



｢え、どういうこと…？｣



山口｢A先輩の行く大学…俺行けるように頑張ります。俺がその大学行けた時に…２年後…返事ください！







それじゃぁ、また！！｣









山口君はそう言って走っていった。






｢待って！山口君…。｣









山口君の姿はもう見えなかった。







｢私も山口君の事好きだよ…。







２年後…待ってるから…。｣






ずっと待ってる…。





待ち続ける…。








だって、誰よりも山口君が好きなんだから…。

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