ココア1つ ページ47
JUNGKOOKさんは目が合うと呆然としたように口を開けて固まったが、電話口の声に意識が戻されたのか迷いなく通話を終了させた。
「おひ、お久しぶり…です。」
ペコリと頭を下げ、挨拶をしてくれるので私もペコリと頭だけ下げて窓の外に目を向ける。変に関わって写真とか撮られちゃっても困るし…J-HOPEさんとの二の舞いにはなりたくないしなぁ。
JUNGKOOKさんもその雰囲気を感じ取ったのか、自動販売機に向かい、何かを購入したようだ。外を見ても心の切り替えできないし…楽屋戻ろうかなぁ。
そんなことを考えていると、私の目の前の窓の縁にコトンと置かれる缶。差し出された方を見ればJUNGKOOKさんが視線を彷徨わせながら立っている。
「…これは?」
「ココアです!」
それは見ればわかる。缶を見ればわかることだが、なぜ私にくれたんだ?
缶とJUNGKOOKさんを見比べていれば、顔を真っ赤にさせながら口を開く。
「コ、ココアでAさんのお時間、少しもらえますか…?」
「ココアで…?」
自動販売機を見れば1つ120円のココア。わざわざお金をかけて時間ってどういうことなんだろう。
「あの、少しお話がしたいだけで!変な意味とかはないです。」
「そうなんですね。だったらココアなんて買わなくても付き合いますよ?」
いつもお世話になってるし、お話ぐらいなら全然良いのに…。そう意味を込めて言えば、JUNGKOOKさんは驚いたように目を真ん丸にする。
「意味が違くても嬉しい言葉…!」
小さな声でゴニョゴニョと呟いて、嬉しそうにガッツポーズを決めているJUNGKOOKさんを不思議に思いながら話の続きを促す。
「それで、どんなお話をしてくれるんですか?」
普段なら何か適当なことを言ってこの場を去るけど…。わざわざココアまでいただいてしまったし、、窓の縁に肘を付き顔をJUNGKOOKさんの方に向ける。
JUNGKOOKさんは大きな目と口を開けてフリーズ。
…この間会ったファンの方と同じような表情だなぁ。
いつ意識が戻ってくるのだろう、と観察していると呼吸を忘れていたのか、苦しそうに呼吸を思い出して意識が戻ってくる。
「…はっ!あの、雑談をしようかと思って。」
「…雑談?」
予想外の返しに、今度は私がフリーズする番だった。
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まちおか(プロフ) - りおん。さん» ありがとうございます!続きも頑張って更新するので応援、よろしくおねがいします! (2022年5月12日 0時) (レス) id: cf9672e178 (このIDを非表示/違反報告)
りおん。(プロフ) - いつも続きをわくわくしながら読ませてもらってます…!これからも応援してます! (2022年5月1日 22時) (レス) @page11 id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まちおか | 作成日時:2022年4月10日 20時