ら民町のハロウィン事情〜続〜

75話「ニット帽の鬼は語る」 ページ29

今から約6000年程前。



生贄としてこの館に連れてこられた。



なにも発展していなく、土いじりを腐るほどやってきたおかげもあって



なんの未練もなく生贄としての生を受け入れようとしていた。



けど、突然現れた"青鬼"によって俺は頭から爪先まで欠片も残されずに喰われる。



青鬼は食べた人間の容姿を模して存在することが出来る。



つまり、俺も青鬼としてこの館に長い間居座ることになった。





それから約500年。



ヨーロッパから胡散臭い博士とフランケンシュタインがこの館に訪れた。



青鬼として存在していた俺はその博士を見ると食欲が過剰になる。



無我夢中で博士に飛びついた。




かと思っていた、けど俺が食べたのはフランケンシュタインとかいう腐った無機物で。



博士の方は別の青鬼が頭から食べていた。



味のしない無機物なんか食っても、美味しくなんてないのに。





が、翌日。



起きると人間の肌色の手足が俺から生えていた。



身体は大きくなっているものの、人間の姿に戻れていたのだ。



服も、ニット帽もマフラーも、いつの間にか身に付けていた。



だけどそんなことどうでもよかった。



人間の身体に戻れただけ、俺は嬉しかった。





でも、正確には戻れなった。



ある"2つの呪い"のせいで。



一つは俺が捕食してしまったフランケンシュタイン。



俺はフランケンシュタインという無機物を捕食してしまったせいで



青鬼体内の科学反応がおかしくなってしまったらしい。



てっきりフランケンシュタインの姿を模した青鬼が増えるとばかり思っていた。



そしてこれは緑色が来てから発覚したんだけど、



あのフランケンシュタインはまだ"未完成"の状態だったらしく



おかげで俺は未完成部分の"右目"が見えない。



右目の周りも腐食しており、まさに飾り。





そしてもう一つが"青鬼の食欲反応"



種族が変わっても、これだけは収まらなかったらしい。



鬼とフランケンシュタインという曖昧な種族になっても



青鬼の根本的な食欲反応だけは消えなかった。




この食欲反応は緑色に制御してもらっていたが、



今、この状況で緑色は再生不能状態でほぼ機能停止。



同じく緑色と結界の補強に携わっていたコンちゃんは魔力の使い過ぎでもうすぐ気絶。



きょーさんは俺と肉弾戦をやっている過程で傷が大量に出来ていてそろそろ終了。



左腕が取れているれうさんもほぼ機能停止。





俺の、勝ちのようだな。

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