先輩が演技している２【五条悟】

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高専に帰る前に

もう一度兄のお墓参りをする


花を追加で一本だけ差して線香をたき

二人で並んで手を合わせた




五条「お兄さんへ

大事な妹さん、絶対に守るんで
俺に任せてください

あと…その…昨日、かわいかったです、ﾍﾍ」


『そんなん兄に報告せんでください』


五条「ｲｯﾀ!!!え！？今叩いた！？」




ねぇ！俺先輩！恋人！！！

なんてわめく悟先輩を放って


心のなかで

また来るね、とだけ伝える



そのとき、悟先輩のポケットの中で携帯が震えた




五条「あ、ごめん、出るわ」




電話に出た先輩が

少し離れたところに歩いていく




『……騒がしくてごめんね？

それとも安心してくれたかな』




"東雲家之墓"


その文字を優しくなぞる




『お兄ちゃん、心配しないで

私、大事な人がいっぱいできたの

大事にしてくれる人も、いっぱい


七海先輩、灰原先輩、硝子先輩、傑先輩、
伊地知くんに、夜蛾先生に、パンダくん

それから＿＿悟先輩


みんなちょっと…
だいぶ変わってるとこもあるけど

大好きなの



みんながいるから、私、今日も生きていける



そこにお兄ちゃんがいないのは

ちょっと寂しいけど


みんなが心の穴をふさいでくれるよ



またみんなとここに来るね

悟先輩とも



お兄ちゃんのことだから

結婚の報告とか待ちきれないって暴れてそう、ふふ


数年後くらいに報告しにくるかもね』





五条「べつに俺は今すぐにでもいいけど」



『きゃあ！？

ぇ、ぁわ、き、聞いてたんですか！？』



五条「わりと序盤から

で、結婚の報告がなんだって？」



『っ〜〜!!
なんでもないです！！』



五条「何でもなくはないだろ

でもあれだな
俺が18になるまでもーちょっとだから
待たせることにはなるけど

逃がすつもりないから、よろしく」




頬に柔らかい感触がしたあと

チュ、とリップ音がなる


見上げると満足そうな

だけど意地悪な顔の先輩がいて




『兄のお墓の前でやめてください！！！』


五条「イッッデェ！！！！」




負けた気がして悔しかったから

とりあえず脇腹をチョップした




五条「なぁまって結構本気でやった？
結構痛いんだけど

俺不壊なわけじゃないんだけど理解してる？？」


『大丈夫ですよ』


五条「なにが！？」




くだらない掛け合いをしながら

高専への"帰り道"を歩き出す



その背中越しに


"いってらっしゃい"


と、兄の声がきこえた気がした






＿＿fin＿＿

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