知らないお兄さん ページ10
「何て書いてあるか読めなくて」
少年は苦笑いをする。
制服を着ているから学生なんだろう。
でも大人っぽくて自分と同じ歳ではない気がする。
「あー…」
読めないとは？
韓国語は話せてるけど、もしかしてこの人も外国人？？
「美味しいお店があるって聞いたんだけど…そうか、休みなのか」
お店を見上げながら腕を組んで残念そうに彼は言う。
そんな姿をどうしたものかと見ていると、私の服の裾を力くんが小さく引っ張った。
「この人…どっかで見たことある」
「え？知り合い？」
「知らない」
どういうことですか？西村さん。
「有名人ってこと？」
「いや、僕そんなに韓国の有名な人知らないし…」
「アイドルじゃないの？」
「いやまだ」
私たちがヒソヒソとそんな話をしていると、話の主役の彼がこっちに振り返る。
「どっか知りませんか？美味しい韓国料理の店！」
「えっ…いや、私たちここら辺初めてなんで」
「えっ、でもお店から出てきたのに」
そう言われると確かに。
休みの食堂から出てきて思い切り関係者であろう私たちが初めてここに来たってどういうこと？って思われても仕方ない。
あー説明…めんどくさい。
「あの、また来てください…明日とか」
「明日？今お腹空いてて」
「え」
そんなこと言われても…
私たちもお腹は空いてるんだけどな。
「んー、じゃあ私たちコンビニ行くんで…お店の人に聞いてみます？」
「コンビニ…？」
少年は首を傾げて私を見る。
とにかくこの人、教えるまで渋りそうな気がした。
もう誰かに託してしまおう、そんな安直なことを考える。
「コンビニの店員さんなら大体その地域に詳しいんじゃないんですかね」
「なるほど！じゃあ行こう」
急に力くんが肩を叩かれて驚いたのか私の肩に寄り添ってきた。
距離感バグってる少年はニコニコしながら私たちを見る。
「でもコンビニ…どこにあるのか知らないんですけど…」
私が苦笑いしてそう言うと力くんが同意する様に小さく何度も頷いた。
「コンビニ、すぐそこの曲がったとこにあったよ。じゃあ行こう」
「え、え」
少年が力くんの腕を掴むと、それと同時に力くんも私の腕を掴んだ。
結局、少年が先頭になって引きずられる様な感じで私たちは店の前から歩き出す。
「これから練習で、お腹空いてたんだ。ボク韓国料理にハマっててさ」
「へー」
力くんと私が同じ様に相槌を打つ。
すると少年は振り返って、また笑顔を見せた。
「君のことどっかで見たことある気がする」
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eng(プロフ) - 依鈴さん» わーありがとうございます！嬉しい！更新もっとがんばります^ ^ (3月3日 3時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - すごく面白いです！！毎日更新楽しみにチェックしてます！笑 頑張ってください！ (3月3日 2時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eng | 作成日時：2024年2月25日 8時
