コンビニへ行こう ページ9
お店の前で待ちぼうけていた力くんを店の入り口から入れるとお祖母ちゃんはキッチンへと向かった。
私たちはお客さんが居ない店内にある4人掛けのテーブル席に並んで座る。
「置いて行かれたと思った」
「ごめんごめん、色々あってさ」
「寂しかった…」
拗ねた顔で見つめられてしまう。
キッチンであった一連の流れを説明しようと一瞬思ったけれど、変な気を使わせるのもアレだし…。
「分かった、あとでコンビニで何か奢るよ」
「ほんと？」
「うん」
やったーって小さく言った力くんのご機嫌な様子にホッとする。
機嫌の治し方とテンションの上げ下げが分かりやすくて助かる…。
「飲み物がこれしかすぐに出せなくて悪いね」
「何ですかこれ」
お祖母ちゃんがグラス二つをトレイから私たちの前に置いた。
力くんはグラスのを手に取り、中を不思議そうに眺めていた。
「シッケだよ。Aは知ってるね」
「うん、家にいつもある」
そう言いながらグラスに口をつけたけれど…
「…………。」
隣を見ると同じくグラスに口をつけた力くんは飲んですぐそのまま固まっていた。
「コンビニ行こうか」
「…うん」
私は固まったままの力くんの手からグラスを取ってテーブルに置いた。
お祖母ちゃんは何も言わずにその光景を見てトレイに回収したグラスを乗せる。
「何か買ってこようか？」
「私…？大丈夫、要らない。それよりお金は持ってるの？」
「うん。じゃあ行ってくるね」
そう言って席を立つと私は力くんの腕を軽く引っ張って、立ち上がる様に促した。
「行ってきまーす」
私がそう言ってお店の出入り口からお祖母ちゃんに手を振ると、力くんは同じ方を向いて頭を少し下げた。
外に出ると少し日が暮れていて結構時間が経ったことを知る。
「さて、どこにあるかなー」
お店の前でスマホを出して近くにコンビニがあるか調べようとした。
「さっきの…なんか飲み物…」
「ああ、あれね。口に合わなかったでしょ」
「うん…残しちゃった。悪いことしちゃったかな」
「大丈夫だよ、元々好き嫌い分かれる味だし」
そう言って安心させる様に力くんを見て微笑むと、後ろに誰かが立っているのに気づく。
私の視線に気づいて力くんが振り返った。
「お店…やってますか？」
そこには笑顔で私たちとお店を交互に見ている少年がひとり。
私も釣られて店を見るけど『臨時休業』の紙は貼ったままだった。
「あ、休みですけど…」
張り紙を指差すと、少年は首を傾げた。
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eng(プロフ) - 依鈴さん» わーありがとうございます！嬉しい！更新もっとがんばります^ ^ (3月3日 3時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - すごく面白いです！！毎日更新楽しみにチェックしてます！笑 頑張ってください！ (3月3日 2時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eng | 作成日時：2024年2月25日 8時
