青春しちゃってんな ページ46
ソンフンさんの腕を掴んだまま、私の手は震えていた。
なんせ人生でこんな目に遭うのは初めてで、しかも後から人にそれを知らされるのはちょっと精神的に来る。
「大丈夫…じゃないよね？」
私の怯えた様子に気づいて、ソンフンさんが肩に手を回そうとした。
「…………。」
けど、すぐに辞めて私から距離を取る。
「未然に防げたら良かったんだけど」
「そんなの予知能力者じゃない限り無理ですよ…」
力なく笑ってみるけどすぐにため息をついてしまった。
「いつから…気づいてたんですか？」
「窓越しに見えたんだよ、Aさんの後ろに誰か立ってるなって」
ああ、そっか…
だから窓の外をずっと見てたんだ。
「あ、でも…すぐにソンフンさん見つけてくれたし撮られてなかったかもしれませんね」
「うん…」
「多分そうですよ。うん、大丈夫」
撮られてない撮られてない撮られてない。
私なんか撮ったって何の得にもならないし、もし売ろうとしても誰も買わない。
多分この…アイドル高校の制服着てたからだ。
それで顔も見てなかったんだ。
だから顔見てきっと今頃悔しがってるだろう。
なんでこんな奴撮ろうとしたんだ！って。
きっとそうだ。
「あの、さっきから…呟いてること全部聞こえてるけど」
「…え？まじで？」
ソンフンさんが苦笑いして私を見た。
「そんなことないよ」
「ん？」
「僕は可愛いと思ってますよ」
え？
今なんて？？？
「初めて見た時から、可愛いなって思ってた」
「…誰のことを？」
「Aさんのこと」
「え、誰が…？」
するとソンフンさんが私の顔を覗き込む。
「…顔、真っ赤だよ」
「だって…そんな顔に言われたらそうなりますよ」
「はは、やった」
えー何その可愛い笑顔。
で、言われたのがお世辞でもフォローだとしてもめちゃくちゃ嬉しくなるもんだな。
アイドルに対面したファンの気持ちが今なら100回頷けるほど同意できる。
「参ったなー…」
「何が？」
「青春しちゃってんなって」
「お祖母さんに似て面白いですね、Aさん」
そこでお祖母ちゃんに似てるって言われるとは思わなかった。
「落ち着いた？家まで送りますよ」
「そんな…って遠慮したいんですけど、今日はお願いします」
「うん」
ソンフンさんは立ち上がって私に手を差し出す。
私はそれを見た後に、ソンフンさんの顔を見て制服の裾を摘む。
「…そういうとこ。」
そんな私を見て彼は嬉しそうに微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
eng(プロフ) - 依鈴さん» わーありがとうございます！嬉しい！更新もっとがんばります^ ^ (3月3日 3時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - すごく面白いです！！毎日更新楽しみにチェックしてます！笑 頑張ってください！ (3月3日 2時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：eng | 作成日時：2024年2月25日 8時
