魔性の男 ページ43
「あー！何であんなこと言っちゃったんだろ」
ソジュの足を拭き拭きして、自分の手も洗って、リビングに行くと。
「プッ、おもしれー」
アイスを片手に呑気に大笑いしながらテレビを見てる西村力がいた。
「最悪だ」
「あ、おかえりー」
そう言うと力くんは私を一瞬だけチラ見してすぐにテレビに視線を戻す。
そうだ、コイツが一緒に居れば彼が何者かすぐ分かってあの無駄な質疑応答せずに済んだのに…
くそー、売り言葉に買い言葉で黒歴史作っちゃったよ。
「はぁ…」
「散歩だけで疲れんの？運動不足なんじゃない」
「メンタル疲れだわ」
リビングのテーブルに突っ伏すと、カトクの通知音が鳴る。
この時間に掛けてくるのはきっとヤン・ジョンウォン。
さっきの話をしようか…
いやダメだ！
もしあの人がヤンくんの知ってる人なら絶対にさっきの黒歴史が伝わってしまう。
「もしもーし」
悩んでいると頭上でそんな声が聞こえる。
頭を上げると力くんが私のスマホに耳をくっつけていた。
「ちょっと勝手に出ないでよ」
「もう掛けてこないでくださいねー」
「何言ってんのっ」
スマホを奪い取って私は急いで通話に出る。
「あ、ごめん…勝手にアイツが出て」
「Aさん？」
「うん」
「びっくりした。さっきの例の下宿の子？」
ジト目で見てくる西村力から逃げる様に私は自分の部屋へ移動した。
「そうそう…デリカシーにかけてる子でね、すぐ人の物を勝手に触っちゃうんだよ」
「そっか…距離近いんだね」
「え？」
あれ？
なんかヤンくんの声のトーンがいつもより低い様な…
「ずっと同じ部屋にいるの？前は自分の部屋があるって言ってたのに」
「あるある、今移動してきたよ！」
「じゃあ普段は同じ部屋なんだ」
「さっきのはリビング。犬の散歩から帰ってきたばっかでー」
何で私こんなに焦ってんの？
まるでいつの日か浮気を疑われてあたふたしてるパパみたい。
「あのさ」
「はい」
「今度Aさんの家に行きたい」
「え？ウチ？」
そう言って自分の部屋を見る。
脱ぎっぱなしの服が床に散乱して、テーブルの上には飲みかけのペットボトルやいつ開けたか忘れたお菓子の袋…
恐れていたお祖母ちゃんの居ない世界の無秩序がここにある。
「うーーーーーーーん」
「来ないでほしい？」
「い、やぁ…そう言われると」
来て来て！って言ってしまいそう。
「じゃあ…ウチ来てよ」
「…はい」
やはり魔性の男や、ヤン・ジョンウォン。
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eng(プロフ) - 依鈴さん» わーありがとうございます！嬉しい！更新もっとがんばります^ ^ (3月3日 3時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - すごく面白いです！！毎日更新楽しみにチェックしてます！笑 頑張ってください！ (3月3日 2時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eng | 作成日時：2024年2月25日 8時
