犬の名は ページ40
「あー…今日はもう金曜日か」
「朝、お祖母ちゃんが言ってたことと同じこと言ってる」
「プッ…お祖母ちゃんて」
ジェイ先輩が図書室の椅子を並べて寝転がりながら呟いた言葉に思わずツッコミを入れると、向かいでノートに文字を書き込んでるヤンくんが吹き出す。
「忙しいと時間は早く感じるんだよ。Aはまだ労働が足りないんだろう」
「結構働いてますよ？学校終わったら店の手伝いして、犬の散歩もしてるし」
「犬飼ってんの？」
「1週間前から」
先週、私と力くんはなんだかんだで結局例のワンコの為に親戚の空き家に引っ越しをすることになった。
朝が弱い私達のために朝の散歩はジェイクさんが勝手にやってくれてるみたいで、なんならワンコのご飯まであげて自分の学校に行ってるみたい。
なので、ウチの鍵はなぜか住んでいないジェイクさんも持っている。
「昨日のカトクのソジュ、ほんと面白かった」
「あー半目開けて寝るやつ？ジェイ先輩みたいでね」
「おい…俺の寝顔をタダで見るな。それよりソジュって名前なの？」
そう、あのワンコには名前があった。
前に店の前で迷子になっていた時、ジェイクさんが首輪見て何も書いてないと答えていた…けれど。
実は首輪にワンコの名前が記されていた。
「犬の名前っぽくねーな」
「元の飼い主が酒屋さんだったから」
「恥ずかしくない？大声で呼ぶ時」
ソジュとは日本語で言うと焼酎。
つまり人前でソジュを呼ぶと「焼酎！」と叫んでるのと同じ。
未成年の自分には周りの目が気になるところ。
「名前、変えないの？」
ヤンくんはそう言うとノートに何かを書いて、私に見るようにシャーペンでトントンと叩く。
『マウム』
「え、かわいい」
「ウチの犬の名前なんだけどね」
そう言うとヤンくんはニコッと笑う。
前に写真を見せてもらったけどヤンくんの家のワンコは白くてふわっふわで。
あーヤンくんが飼ってそう、って可愛らしい子だった。
「り…ニキがビスコにしたいって言ってるんだよね」
「ビスコって日本のお菓子食べたな昔」
力くんの家にも愛犬がいるらしくて前に動画見たけどその子も可愛かった。
見るたびに会いたい会いたいってずっと言ってて、日本が恋しいんだろうなと思うとなんだか優しくしてあげたくなる。
「あ、じゃあどっちかの名前呼んで…来た方の名前を採用するのはどう？」
「じゃあ俺の候補はジョンソン」
「ジョンソン？」
「自分の名前つけないで、ヒョン」
逆にジョンソンって呼んでみたい。
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eng(プロフ) - 依鈴さん» わーありがとうございます！嬉しい！更新もっとがんばります^ ^ (3月3日 3時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - すごく面白いです！！毎日更新楽しみにチェックしてます！笑 頑張ってください！ (3月3日 2時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eng | 作成日時：2024年2月25日 8時
