演技10 ページ10
「ーーと言うわけで、私は演技をしていた訳です」
説明をし終わり、目の前の彼らを見る。どうやら話した情報に脳が追いついていないようだ。すると少しして、七海さんが声を上げた。
七海「私は正直、信じられません」
彼は私をしっかりと見据えてそう言う。
「ですが、貴女が嘘をついているようにも見えません」
この言葉から推測するに、七海さんはどちらも信じられない状態なのだろう。極めて正常な思考だ。
さて、どうしようか。証拠を見せようか、いや、使わずにいけるか…?
ーー私は説明している中、今彼らを引き入れようと決めた。私が明日行う作戦で2年生に信じてもらえなかった場合の保険としてだ。
どうしようかと考えていると、灰原さんが声を上げた。
灰原「幡森さん、僕は君を信じるよ!」
私は少々驚いた。すぐに信じてもらえるとは思えなかったからだ。私が驚きを悟らせないようにしていると、彼は柄にもなく目を伏せて言う。
灰原「納得したんだ。時々、幡森さんから悲しい雰囲気を感じていたからね」
そう言って、彼は謝ってきた。
私、悲しい雰囲気を出していたのか。隠せてたと思ってたんだけどな。でも、信じると言ってくれたことにじんわりと胸が温まった。演技が通じてなかったのだと少し悔しく思うけどね。
七海「…幡森、さん。私は、美夜さんがそんな方だとは思えません」
すると、七海さんが険しい顔でそう言った。まぁそれが普通だ。全てを話したとはいえ、昨日まで彼の中で私は悪なのだから。
証拠、出すかぁ…
私は携帯を取り出すと、録音した音声を流した。
美夜『あら?ゴミじゃない。何よ、近寄らないでくれる?』
美夜『ねぇ、貴女の名前って何だったかしら?ゴミの名前なんて一々覚えていられないのよ』
これは証拠として録音してきた、義姉の罵り音声だ。
七海さんは、義姉の声だと分かったのだろう。一瞬信じられないような顔をし口を開くも、ぎゅっと口を閉じる。そして、「ハァーーー」と長いため息を吐くと、私に頭を下げた。
七海「すみませんでした。本当の、ようですね」
「いいんですよ。演技していましたし」
七海「いいえ。演技だとしても、私は貴女を避けて非難しました。これは事実です」
そう言い、再び頭を下げてきた。誠実な人だ。
…さて、彼らが味方になったと信じて作戦を話しておこうかな。
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AO777 - おとひびさん» 爆笑していただけて何よりです〜!いい感じにつながっているか本当に不安だったのですが、そう言っていただけてホッとしました。ありがとうございます! (12月17日 12時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
おとひび(プロフ) - クマのぬいぐるみ爆笑ですwww続きがあるとは思わなかったです、!いい感じに繋がってて楽しみです✨頑張ってください! (12月14日 21時) (レス) @page31 id: 72762186eb (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - ぷりんさん» 毎度毎度本当にありがとうございます〜!神作、と今後も言っていただけるよう精進して参ります!頑張ります! (12月13日 21時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 本当に神作ですね!!更新頑張ってください! (12月12日 18時) (レス) id: 43dfb5bec0 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - なつきさん» こちらこそ嬉しいコメントをありがとうございます!五条さんの雰囲気づくりは大変で、手こずっていたのでそう言っていただけて安心いたしました。できる限り更新頑張ります! (12月9日 12時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AO777 | 作成日時:2023年9月29日 18時