演技20 ページ20
五条「やめろよ…」
五条悟は私の前に立ち、呪具を指で挟んで止めていた。
美夜「…っあ…」
そしてそれを地面に投げ捨てさせる。義姉は、怒りが急速に消え失せたのか、サァと一気に顔を青くする。自分が何をしようとしていたか理解したようだ。
そして私と同様、義姉の術にかかっていた先輩二人も、こちらに向かってくる。一方、私は“五条悟に助けられた”という事実に動くことができずにいた。
五条悟に、助けられた。
姉様を罵った男に、命を救われた。
自分の不甲斐なさに吐き気がする。完全に油断していた。作戦が上手くいって、安心していたのだろう。血が滲むほど唇を強く噛む。
ああ、本当に悔しい。
美夜「……うあ、っう…」
私が苦肉の表情を浮かべていたその時、二年生達に包囲された義姉が間抜けな声を出して崩れ落ちた。
…でも、目的は達成できた。
悔しい、悔しいが、信用を失わせることはできた。ひとまずいいだろう。今後気をつければいい。
そう思って、教室を出ようとしたが、
五条「おい、大丈夫か!?」
五条悟に肩を掴まれた。
…面倒くさい。触らないでほしい。
「…大丈夫ですので離してくれますか?」
できるだけ穏便にと笑顔を浮かべてそう言うも、五条悟は私を凝視していて聞く耳なしだ。
五条「口から血ぃ出でんじゃねーか…!おい、硝子!」
「いや、ですからーー」
家入「動くなよ」
「………」
その「動くなよ」にはなぜか私を拘束する力があった。
家入「はい、できた」
「ありがとうございます。では」
私は無理矢理座らされた席を立ち、簡潔にお礼を言った後、縄で縛られた義姉を一瞥して教室のドアへ向かう。
その途中に、
夏油「幡森さん…すまなかったね」
家入「すまなかったな」
五条「……悪りぃ」
後ろから声が聞こえてきた。
やっぱり、謝ってくるんだね。
「…私はそうなるよう演技をしていました。謝られることではありません」
そう、私は演技をしていたんだもの。仕方がない。
そう思いながらドアを開けた、が、
五条「……やっぱり、似てんな……掠奈に」
五条悟のその声に振り返らざる終えなかった。
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AO777 - おとひびさん» 爆笑していただけて何よりです〜!いい感じにつながっているか本当に不安だったのですが、そう言っていただけてホッとしました。ありがとうございます! (12月17日 12時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
おとひび(プロフ) - クマのぬいぐるみ爆笑ですwww続きがあるとは思わなかったです、!いい感じに繋がってて楽しみです✨頑張ってください! (12月14日 21時) (レス) @page31 id: 72762186eb (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - ぷりんさん» 毎度毎度本当にありがとうございます〜!神作、と今後も言っていただけるよう精進して参ります!頑張ります! (12月13日 21時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 本当に神作ですね!!更新頑張ってください! (12月12日 18時) (レス) id: 43dfb5bec0 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - なつきさん» こちらこそ嬉しいコメントをありがとうございます!五条さんの雰囲気づくりは大変で、手こずっていたのでそう言っていただけて安心いたしました。できる限り更新頑張ります! (12月9日 12時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AO777 | 作成日時:2023年9月29日 18時