演技18 ページ18
夏油「この声は…美夜…?」
私が流した音声に、
夏油先輩は信じ難いような顔をして、家入先輩は眉をひそめる。そして五条悟は、座り込んだまま目を見開いて、只々驚いていた。
義姉はというと、
美夜「……な、んで……」
そうボソリと呟きながら、意味がわからないと顔を歪めている。
あの時、携帯と共に消し去ったと思ってたものね。
あまりの愚かさに笑いが溢れそうになるも、私は堪え、話を進める。
「これ、何の音声だと思います?」
にこやかにそう言えば、義姉は更に顔を歪めた。
ああ、愉快極まりない。
その時、夏油先輩が思い至ったように口を開いた。
夏油「……君が、美夜に言わせたのかい…?」
「……は?」
夏油先輩のその言葉に、思わず呆れの声が出る。
危ない。笑顔が崩れそうになった。
……何言ってるんだこの人は
「これが、言わせた音声だと言いたいのですか?」
夏油「そうじゃなければ、彼女がそんなことを言うはずがない」
「……へぇ」
随分と義姉を信用しているようだ。
それ故に、この真実に背を向けようとしている。脳では義姉の声だと理解しているのに、心では信じたくないからとその理解を否定している。
でもね、義姉の本性を知ってもらわないと困るんだよ。
“同級生からの信用を失う”
それが義姉を陥れることに繋がるんだ。
「でも、言わせたにしては上手ではありませんか…?」
夏油「…それは」
…仕方がない。
美夜『お前は本当にバカね!』
美夜『ゴミはゴミらしく私に従いなさい』
私は再び再生ボタンを押し、次々と義姉の罵倒音声を流していく。
それに義姉は先輩達が前にいることをいいことに、私を醜く睨み、二人の先輩は目を見開いて呆然とする。五条悟はやっと立ち直り、横にいる義姉に信じられないと視線を向けていた。
それに義姉は気がつかない。
「これで、信じていただけますか?」
家入「…美夜、本当か…?」
夏油「………」
二人もまた振り返り、義姉に視線を向ける。義姉はその視線にも気付かずに私一人を瞳に捉えたまま立ち上がり、怒りで顔を染めながら口を開いた。
“義妹に虐められてきた可哀想な少女”の仮面は、既に崩れ落ちている。
美夜「っあんた、ゴミの分際でなんて事してるのよ!!」
そう怒鳴る義姉の顔は、酷く醜い。
2021人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
AO777 - おとひびさん» 爆笑していただけて何よりです〜!いい感じにつながっているか本当に不安だったのですが、そう言っていただけてホッとしました。ありがとうございます! (12月17日 12時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
おとひび(プロフ) - クマのぬいぐるみ爆笑ですwww続きがあるとは思わなかったです、!いい感じに繋がってて楽しみです✨頑張ってください! (12月14日 21時) (レス) @page31 id: 72762186eb (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - ぷりんさん» 毎度毎度本当にありがとうございます〜!神作、と今後も言っていただけるよう精進して参ります!頑張ります! (12月13日 21時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 本当に神作ですね!!更新頑張ってください! (12月12日 18時) (レス) id: 43dfb5bec0 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - なつきさん» こちらこそ嬉しいコメントをありがとうございます!五条さんの雰囲気づくりは大変で、手こずっていたのでそう言っていただけて安心いたしました。できる限り更新頑張ります! (12月9日 12時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:AO777 | 作成日時:2023年9月29日 18時