演技17 ページ17
そして放課後。
今私は2年生の教室の前にいる。全員いることは七海さんと灰原さんに確認してもらっているから大丈夫だ。
条件は揃った。
私は深呼吸をして、ドアを開けた。
美夜「それでね、これ、が……」
最初に義姉が気づく。
笑顔を恐怖の顔へ歪ませた。どうやら私がいつもの格好をしていなくても怯える演技をすることにしたようだ。
全く器用なことで。
そして義姉の視線を追うように、順々に視線が向く。夏油先輩と家入先輩は不思議な顔、義姉は恐怖の顔をしているものの、私がこの教室に来たことへの困惑を隠しきれていない。
そして、
五条「っお前…!」
五条悟は驚いた顔をした。
そしてこちらに近づき、肩を掴もうとしてくる。私はそれを華麗に避けると五条悟の腕を掴み、本気で背負い投げた。
五条「は!?」
夏油「悟…!?」
美夜「悟っ!」
家入「あ、おい、美夜!」
それを見た義姉が五条悟の方に走り出し、大丈夫と声をかける。そうしている義姉はまさに“婚約者を心配する少女”と言えるだろう。
それを静観していると、残りの二人の先輩の方から「天使…」という呟きが漏れた。私はそれに心の中で口角を吊り上げる。その天使の正体が悪魔だなんて、この人達は知らない。
さて、五条悟のせいで少し狂ってしまったが始めようか。
そろそろーー
美夜「何してくれたのっ…!やめて、もうやめてA!」
義姉が怒った顔をして叫んだ。やっぱりね、悲劇の主人公を演じているのだから、こう言う発言をしてくれると思っていたよ。
すると、その名前に反応して、2年生達は驚きの顔で私を見た。
夏油「美夜、何を言っているんだい?彼女があの女な訳が…」
美夜「Aは、化粧をしてたの。それで、自分の素顔を隠して私を…虐めて…っ」
義姉は、ポロポロと涙を零す。それに、3人の息を飲む音がした。
少しして夏油先輩は私を睨み、家入先輩は義姉の前に出る。私を“美夜を虐める義妹、幡森A”だと認識したようだ。しかし、五条悟はただ一人呆然としている。
あっけなく背負い投げをされたからだろうか?…まぁいい。
ここで爆弾投下だ。
私はニヤつきを隠しながら自身の携帯を取り出し、再生ボタンを押した。
美夜『あら?ゴミじゃない。何よ、近寄らないでくれる?』
その音声に、義姉の顔が崩れた。
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AO777 - おとひびさん» 爆笑していただけて何よりです〜!いい感じにつながっているか本当に不安だったのですが、そう言っていただけてホッとしました。ありがとうございます! (12月17日 12時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
おとひび(プロフ) - クマのぬいぐるみ爆笑ですwww続きがあるとは思わなかったです、!いい感じに繋がってて楽しみです✨頑張ってください! (12月14日 21時) (レス) @page31 id: 72762186eb (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - ぷりんさん» 毎度毎度本当にありがとうございます〜!神作、と今後も言っていただけるよう精進して参ります!頑張ります! (12月13日 21時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 本当に神作ですね!!更新頑張ってください! (12月12日 18時) (レス) id: 43dfb5bec0 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - なつきさん» こちらこそ嬉しいコメントをありがとうございます!五条さんの雰囲気づくりは大変で、手こずっていたのでそう言っていただけて安心いたしました。できる限り更新頑張ります! (12月9日 12時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AO777 | 作成日時:2023年9月29日 18時