演技15 ページ15
全然大丈夫なんかじゃなかった…!
私は動揺と嫌悪感を隠し、振り向く。するとそこには、自分でもどうして声をかけたかわからないという顔をする五条悟がいた。
前もそうじゃなかった?
「何か用ですか?」
前と同じく声をかけると、五条悟はハッとして、一文字に結んだ口をゆっくりと開いた。
五条「…お前、高専にいたよな」
「そうですが、それが何か?前も声をかけてきましたよね」
今度は嫌悪感を丸出しにせず、にこりと笑みを浮かべながらそう聞いた。ただし、視線は冷たくして。すると、五条悟は柄にもなくもごもごと口を動かす。
五条「……あ、いや……お前が、あいつに似てて…」
「あいつ?あいつとは、誰のことでしょうか?」
五条「…幡森、掠奈」
.
.
…………は?
出てきた予想外の名前に、私は硬直する。貼り付けた笑みに、ひびが入った音がした。
なんで、なんでこいつが、
姉様の名前を言ったんだ。
お前のせいで姉様は死んだのに。
私が何も言えずにいると、私が幡森掠奈を知っていると判断したのか、五条悟は勝手に話し出す。
五条「お前、雰囲気が似てんだよ。……なぁ、あいつ今、どこにいるんだ?」
どの口が言ってるんだ。
今すぐ怒鳴りつけてやりたい。でも、ダメだ。それは明日。義姉の本性をバラした後、思いっきり怒鳴りつけてやる。私はそう思い、言葉を飲み込んでにこやかな笑みを再び貼り付けた。
「それはわかりません。では」
五条「は?待てよーー」
五条悟の制止の言葉など聞かずに、私は早歩きでこの場を去った。きっと追いかけてはこない。二人の友人にそろそろ声をかけられているところだろうから。
にしてもどうやら五条悟は姉様が自分のせいで死んだことなど知らないようだ。これは予想外だった。この感じだと幡森についてもよく知らないのだろう。
「ここら辺でいいかな…」
私はコンビニから1キロほど離れた人気のない路地で、術式を発動させる。
「明日、きっと姉様は喜んでくれる。父様も、母様も、きっと」
そして、我こそ一番だと競うように輝く星々を見つめながら、そう呟いた。
2021人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
AO777 - おとひびさん» 爆笑していただけて何よりです〜!いい感じにつながっているか本当に不安だったのですが、そう言っていただけてホッとしました。ありがとうございます! (12月17日 12時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
おとひび(プロフ) - クマのぬいぐるみ爆笑ですwww続きがあるとは思わなかったです、!いい感じに繋がってて楽しみです✨頑張ってください! (12月14日 21時) (レス) @page31 id: 72762186eb (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - ぷりんさん» 毎度毎度本当にありがとうございます〜!神作、と今後も言っていただけるよう精進して参ります!頑張ります! (12月13日 21時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 本当に神作ですね!!更新頑張ってください! (12月12日 18時) (レス) id: 43dfb5bec0 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - なつきさん» こちらこそ嬉しいコメントをありがとうございます!五条さんの雰囲気づくりは大変で、手こずっていたのでそう言っていただけて安心いたしました。できる限り更新頑張ります! (12月9日 12時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:AO777 | 作成日時:2023年9月29日 18時