2話 ページ4
やりきった───という想いだけではないような気がする。
無事、日本でのライブツアー一日目が幕を閉じた。
俺は魂が抜けたような顔で楽屋のソファに豪快にもたれていた。メンバーたちが何やら心配しているのか遠巻きにひそひそと話した後、痺れを切らしたホソクが話しかけてきた。
｢大丈夫？｣
｢……あっ、何が？｣
｢いや…お前、なんかずっとぼーっとしてるし…もしかしてライブ中になんか壊した？｣
とりあえずこいつのことだしなにか壊したんだろう、怒らないから言ってごらん、と顔に書いてあるのが分かる。俺といったら破壊というイメージをどうにか払拭できないものかと眉間に皺を寄せて居ると後ろからジョングクがひょこりと姿を現す。
｢そうですよ、それとも何か別にあるんですか…？僕ヒョンのこと心配です、頼ってください｣
僕も、とジミンとテヒョンが近づく。俺、そんなに分かりやすく呆けてたかな？とすこし拍子抜けしてしまうと共に、みんなにこれ程の心配を与えさせていたのだと思うと申し訳なくなってくる。
｢い、いや本当になんでもないんだ。心配かけてごめんな｣
焦って、ニコリと笑ってみたがマンネ達の怪訝の顔は張り付いたままだった。どうして僕たちを頼ってくれないの？といったところだろう、頼りたいのは山々だが、これはいくらメンバーでも軽々しく相談できることじゃなかった。
ジョングク始め、マンネ達は俺が喋るまで動かないつもりだった。テヒョンは隣二人が動かないのでオロオロしつつも同調したという感じだが。
俺はどうしたらいいのか分からず、再び謝ろうと思うと、後ろでジニヒョンが微笑んだ。
｢まあまあ、そう急かして聞くこともないだろ｣
場の空気がすこし和んだような気がした。マンネ達が、確かに、という顔をするとホソクが隣でほっと息を吐いていた。
｢そうだぞ、お前たちがそうやって圧かけてもナムジュナも話しづらいだろ｣
ユンギヒョンもジニヒョンと一緒にこの場を収めてくれた。
マンネ三人がすみませんと申し訳なさそうに頭を下げた。謝るのはこっちなのに、と俺も頭を下げる。
｢心配かけたよな、いいんだ、気にしないで｣
｢ごめんなさい、でも僕たちヒョンが心配だったんです…いつでもいいので話してもいいと思ったら話してくれませんか？｣
ジミンがそうやって上目遣いでこちらを見詰めた。｢もちろん、ありがとな｣と微笑むとジミンはほっとして、両隣二人と目を見合わせて笑った。
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作者名：SEVEN | 作成日時：2021年3月7日 1時
