＃ ページ2
｢え、A、バンタンにハマったってこと？誰ペン？誰ペン！？｣
｢ちょ……ハマった訳じゃないよ！でも、このスピーチしてるキムナム…なんだっけ｣
｢キムナムジュン！｣
｢あ、そうそう。キムナムジュンさんは凄いと思う…こんな英語ペラペラで国連でスピーチするとか｣
こういう堂々とした人、好きだなあ、とボヤき程度につぶやくと○○は急に黙り込んで私を見詰めた。私は○○の真剣な表情にたじろいだ。
｢な、なに！？どうしたの！？｣
｢A……｣
長い年数彼女とつるんできたが、ここまで真っ直ぐな瞳は見たことがなかった。もしかして私なんか地雷踏んだ？と謝る準備をしていると、○○が口を開いた。
｢ライブに行こう｣
｢───は？｣
そんな経緯があって私は東京ドーム、その上アリーナの最前列というファンなら誰もが羨む場所で彼らのライブを見ていた。
あの後、○○が｢もうすぐファンクラブでライブチケットの応募始まるから｣と、後日、私の分まで応募してくれたのだった。
ライブなんて人生で初めての経験だった私も少し浮き浮きしていたものだから、オペラグラスいるのかなあとか調べていたけどそんな必要はなかった。当落発表の日に○○が奇声を上げながら｢アリーナ最前列！｣と叫んで私に伝えた。
○○に教えてもらった通りにアミボムというペンライトも買ったし、そもそも○○が連番してくれているので不安は無いのだが───どのタイミングできゃあと叫ぶのかとか、曲それぞれのコールの仕方が分からないのは少し困った。
でも、例え分かっていても私は出来なかったと思う。彼らのパフォーマンスに引き込まれ、私は声も出せずにいた。
暫し固まったまま聴き惚れていたが、○○の叫びに近い声が私の名前を何度か呼んだことでハッとした。
｢A！A！｣
｢…っえ？！あ……な、なに？｣
｢ナムさんとホビ！！ほら！！前見て！！｣
｢え？｣
言われる通りに前を見ると、アリーナ最前列に向かって、ステージギリギリまで近付いてくるアイドル、キムナムジュンとチョンホソクがそこに居た。
雄々しい低音と少しセクシーなパフォーマンスで観客を沸かせた。
周りがそんな彼らにコールで返していたので、私もコールを入れたかったが分からないのでただオロオロしているだけだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SEVEN | 作成日時：2021年3月7日 1時
