*。あの夕立が止む前に。*Satoshi.O (ページ5)

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「よしっ、一騎打ち！」

そう意気込むAだったが、いかんせん俺は釣りが趣味なのもあって金魚すくいも得意なのだ。

「あーっ、負けた！！」

俺が三匹、Aが二匹。互角ながらも俺が勝った。

「惜しかったなぁー」と悔しがるA。

「はー、リンゴ飴ね、仕方ないなぁ」

と文句を言いながらもまっちゃんが三人分リンゴ飴を買ってくれた。さらに、ラムネも三人分買ってくれて、顔ももちろんだけどまっちゃんがモテるのはこういうところだよな、と思った。
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「わーい、潤ちゃんイケメン！」
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そう言ってまっちゃんを見るAは、話し方こそふざけていたが、目は完全に恋をしている目だった。

慣れてはいるものの、あまりの切なさに胸がぎゅっと締め付けられた。

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三人でリンゴ飴を食べながら、花火がよく見える海沿いの穴場に向かった。
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並んで座って花火を待っていると、ドーン！と花火が上がった。

「やっぱ今年も綺麗！」

Aがそう声を上げた。

何度見ても、ここの花火は綺麗だ。
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「ちゃんと目に焼き付けておかないとなぁ」
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まっちゃんがふとそう呟いた。
大学受験がうまくいけば、まっちゃんは東京に行ってしまう。
寂しくなるなぁ、と思いながらまっちゃんのほうを見れば、少し泣きそうな顔でAがまっちゃんを見ていた。
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「大丈夫、また来るでしょ」
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俺はせめてもの思いでそう言った。

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