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翌朝、Aから連絡が来ていた。今日会いたい、と言われたので「夕方、高校の裏の公園で話そう」と返信した。
そこは、まっちゃんが旅立ったあの日にAと一緒に行った場所だった。
いつになく服を選ぶのに迷った。勝算はほとんどないとは思っていたが、やっぱり少しでも自分をよく見せたかったからだ。
こんなの俺らしくないな、なんて思った。
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予定の時間よりも早くその公園に行って、俺は一人でブランコに乗っていた。
ブランコに揺られながら、昔のことを思い出していた。
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「サト」
心地よいその声が聞こえたと共に、Aが隣のブランコに座った。神妙な面持ちのAに、
「ハッシーおはよ」
と言うと
「朝じゃないじゃん(笑)」
Aがいつものように笑った。
俺の好きな笑顔だ。
「この公園、懐かしくない？まっちゃんが東京に行った日に二人で来てさ、ハッシーずっと泣いてたよね(笑)」
あの時のことは今でもよく覚えている。
ただひたすら泣くAに、俺は大した言葉をかけてあげられなかった。その悔しさは忘れたくても忘れられなかった。
「...そうだったね(笑)」
Aが思い出したように苦笑いをした。
そして、暫しの沈黙の後、
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「サト、ありがとう。
こんな私のこと好きって言ってくれて。
本当に全然気づかなかったからびっくりしたけど、すごく嬉しかった。」
Aがブランコを漕ぐのをやめて、俺の目を見てそう言った。少し思い悩むような表情をしながら
「...でもね、私やっぱり潤ちゃんのことが好きなんだ。振られるかもしれないけど、ちゃんと伝えたいと思ってる」
そう言ったAの目には、涙が浮かんでいた。
あぁ、こんな表情させちゃ駄目じゃん、俺。
そんなふうにも思ったけれど、俺のことで涙を流してくれるのなんて初めてだな、と思うと少し嬉しいような気持ちにもなった。
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作者名：柚奈 | 作成日時：2020年4月25日 15時
