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しばらく走っていると、トボトボと歩いているAの後ろ姿を見つけた。
「A！」
心の中でこそAといつも呼んでいたが、本人に向かってそう呼んだのは恐らく初めてのことだった。
「サト...なんで...？」
大粒の涙を目に溜めたままAが振り返った。
「ごめん、俺Aがまっちゃんのこと好きなの気づいてたから、言わなかったけど」
その言葉にAが目を見開いたのがわかった。今しか言うタイミングはないと思った。
もう、気持ちを隠すのは限界だった。
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「俺はずっと前から、ハッシーの...Aのことが好きだよ」
ついに、言ってしまった。もちろんどんな反応をされるかは怖い。でも、言うしかなかった。
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より一層驚いた顔をして、言葉を失っているAに
「そんなに苦しむくらいなら...俺にすればいいじゃん」
そう言いながら、俺はAを抱きしめた。
「俺にしろよ...」
まさかそんなドラマみたいなセリフを自分が言う日が来るとは思ってもみなかった。
でもそれが俺の本心だった。
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「サト...でも私」
なんと言おうとしているかは大体想像がついていたが、まだ聞きたくなかった。
だから俺はAが何かを言いかけたところで
「返事は今じゃなくていいよ」
と遮って、抱きしめていた腕を解いた。
「ちゃんと考えて、落ち着いてからでいいよ。」
まだ少しは希望を持っていたかったのだ。
「...わかった、ありがとう」
俺は「じゃあね」と手を振ってその場を去った。
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「言ってしまった」という後悔と、「やっと言えた」という達成感のような感情の狭間に俺はいた。
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作者名：柚奈 | 作成日時：2020年4月25日 15時
