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第1章「好きな人」1 ページ1
第1章-好きな人
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「サト！」
机に突っ伏してウトウトしていると、聞き慣れた声が聞こえた。
目を開ければ愛しい君が俺の机に手をついていた。
「お昼休みだよ！行こ？」
「あぁ、うん」
俺の好きな人、橋本A。幼馴染。
明るくて、誰にでも好かれる。
ちょっと男勝りな性格も、飾り気のない笑顔も。
気付いたら、好きになっていた。
俺はAを名字の橋本から、"ハッシー"と呼んでる。
Aは俺、大野智のことを"サト"と呼んでいる。
Aと向かった先は屋上。
昼休みになると屋上で昼飯を食べるのが日課なのだ。
「潤ちゃん今購買行ってるから」
屋上のドアを開けながら、Aがそう言った。
「あぁ、そっか。今頃戦ってるかな(笑)」
「いや、潤ちゃんはあのルックスだから女子が皆譲ってくれるんじゃない？笑」
「確かに笑」
潤ちゃん、というのは同じく幼馴染の松本潤。俺はまっちゃんと呼んでいる。
容姿端麗で、勉強も運動もそれなりにできて、めちゃくちゃモテる。
そして...
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ハッシー...Aの、好きな人。
それには昔から気付いていた。
Aはいつもまっちゃんを見ていた。
それは10年以上もAを見ていれば一目瞭然のことだった。
俺はAを見ていて、Aはまっちゃんを見ていて、まっちゃんはそれに気付いてない。
所謂、三角関係というか、恋愛食物連鎖というか。
でも俺は、Aに自分の気持ちを伝える気はない。
...いや、
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そんな勇気がない。
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作者名：柚奈 | 作成日時：2020年4月25日 15時
