〇37__好きな人がいる ページ37
「わあ、住宅街だ」
「一本逸れるとこんな感じだよ」
「うわ、豪華な庭」
「お城みたいだね」
視界に入る光景の感想を述べるヨンジュンに、一言だけ返答する私。
何ともぎこちなかった。
二人で過ごす放課後、帰り道、夕暮れ。
そんな憧れのシチュエーションが揃い踏みなのに、私は直面したくない事象に気がついていた。
多分、今ここにテヒョン君がいたならば会話は途切れない。
セウンがいたなら、賑やかなやり取りに目を細めていた。
私は会話を繋ぐことが絶望的に下手なようだ。
口をずっと動かしている友達、場の空気を乱さない後輩に囲まれていたからか、能力の無さに今の今まで気がつかずにいた。
聞き役の方が向いているという自覚と、ヨンジュンを目の前にしている緊張が相まって話題を提供できない自分が情けない。
「あのさ、」
隠れて自己嫌悪に陥っていると、ヨンジュンが突然立ち止まった。
どうしたの？
ヨンジュンも忘れもの？
頭に思い浮かんでは消えていく台詞たち。
何も言えないのは、目の前に立つヨンジュンがすごく、ものすごく真剣な顔をしていたから。
安易に空気を震わせてはいけない、そんな緊張感が漂っているから。
「この前、好きな人がいるって言ったじゃん」
「うん、」
渇ききった喉から声を絞り出した。
掠れていたのかもしれないし、いつも通りだったかもしれない。
「それ本当は、」
そこまで話したヨンジュンの言葉は、けたたましい音楽によって遮られた。
あまりの音量に肩がびくつく。
それはヨンジュンも同じだったようで、片指で耳を塞ぎながらポケットからスマホを取り出した。
その動作から、音楽の正体はヨンジュンのスマホで、音が鳴り止まない様子から着信を受けているのだと悟る。
「なんで音が…」
しかめっ面でスマホの側面を覗き込んだと同時に音が鳴り止む。
何かボタンを操作したみたいだった。
「セウンだ」
こちらに向けられた画面には、ユンセウン、そう表示されている。
「出なよ」
「いや、でも」
何を躊躇っているのか画面を凝視して動かないヨンジュン。
というか、正直出てほしくない気持ちの方が大きい。
それでも、
「電話するってことは緊急の用事かもしれないし」
単純に電話を寄越したセウンのことが気にかかった。
それに、ヨンジュンが出るまで永遠にその画面のままだとも思った。
「うん…」
納得のいかない様子で渋々電話に出たヨンジュンが私から少し距離を取った。
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am(プロフ) - ノアさん» ノア様 嬉しいお言葉をありがとうございます。丁度構想を練っている時分にコメント通知を受け取ったので、創作意欲が湧きました♡これからも涙腺を刺激するようなテヒョン君を書けるよう頑張ります⋆⸜ ⚘ ⸝⋆ (2021年10月8日 23時) (
レス) @page48 id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 文章が天才的すぎます！！泣 テヒョンペンなので今泣きながら見てます笑 更新楽しみにしてます！！^^* (2021年10月8日 21時) (レス) @page46 id: f00cf6f10c (このIDを非表示/違反報告)
am(プロフ) - ミミさん» ミミ様 早速のレスポンスありがとうございます!晴天の霹靂と言ったところでしょうか。ヨンジュン、最近黙ってばかりだなぁと心配しながら執筆しております🥲 (2021年9月28日 3時) (レス) id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - am様、二度目のメッセージを投稿します。今ほど更新された話を読んだところですが、いやぁ、こうきたか！って感じです。主人公ちゃんに気持ちを寄せてしまっています。主人公ちゃんが頭の良さが文章の描写から伝わってきますね。ああ、続きどうなるんだろう。 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 877c5b508b (このIDを非表示/違反報告)
am(プロフ) - aaaoooさん» aaaooo様 素敵なお言葉をありがとうございます。伝えたい🐿さんが届いているようで嬉しいです!もっと読みたい、そう思ってもらえる作品を綴っていくのでよろしくお願い致します♡ (2021年9月27日 16時) (レス) id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：am | 作成日時：2021年8月22日 14時
