〇28__怖気付いたよ ページ28
体育館の真下に位置する更衣室は食堂に面していて、長い行列を作る建物は先程とは打って変わって大変賑わっていた。
「ここで待ってる」
ベンチに腰を下ろしたヨンジュンが右手を上げたので、返事をしてひんやりとした室内へ入る。
そして、すかさずスマホのカメラを起動した。
口角に沿った絆創膏は、遊び盛りの小学生のような子供っぽさを醸し出していて、「ダサい」この一言に尽きる。
こんな面を下げてヨンジュンと話していた事実に泣きたくなったけれど、わざわざ保健室まで来てくれた現実を覆い被せる。
長く待たせてはいけないと超高速で着替えを済ませ、丁寧に髪の毛を整えた。
外に出ると、ヨンジュンが座っているはずのベンチには人だかりができていて当の本人が見当たらない。
自然と人が集まるヨンジュンのことだから、あの中にいるはずだと目星をつけたけれど、声をかけるタイミングを完全に見失った。
その場でおろおろしていると隙間を縫って目が合う。
すっくと立ち上がったヨンジュンの頭が群衆の中からひょっこりと現れた。
「じゃあ部活で」「今度ダンス見に行きます」「またご飯行きましょう」同性異性からのキラキラとした憧れを纏う言葉を背に受けたヨンジュンが、「ごめん、待たせた」と申し訳なさそうに顔の前で手を合わせる。
「人気っぷりに怖気付いたよ」
本当のことを冗談のように伝えると、照れ臭さを噛み砕いたヨンジュンが頭の後ろに手をやった。
正直少し、どうすればいいのかわからない。
自分の好きな人はどこにいても主役で。
じゃあ私は?クラスメイトAなんだよね、と自問自答した。
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am(プロフ) - ノアさん» ノア様 嬉しいお言葉をありがとうございます。丁度構想を練っている時分にコメント通知を受け取ったので、創作意欲が湧きました♡これからも涙腺を刺激するようなテヒョン君を書けるよう頑張ります⋆⸜ ⚘ ⸝⋆ (2021年10月8日 23時) (レス) @page48 id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 文章が天才的すぎます!!泣 テヒョンペンなので今泣きながら見てます笑 更新楽しみにしてます!!^^* (2021年10月8日 21時) (レス) @page46 id: f00cf6f10c (このIDを非表示/違反報告)
am(プロフ) - ミミさん» ミミ様 早速のレスポンスありがとうございます!晴天の霹靂と言ったところでしょうか。ヨンジュン、最近黙ってばかりだなぁと心配しながら執筆しております🥲 (2021年9月28日 3時) (レス) id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - am様、二度目のメッセージを投稿します。今ほど更新された話を読んだところですが、いやぁ、こうきたか!って感じです。主人公ちゃんに気持ちを寄せてしまっています。主人公ちゃんが頭の良さが文章の描写から伝わってきますね。ああ、続きどうなるんだろう。 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 877c5b508b (このIDを非表示/違反報告)
am(プロフ) - aaaoooさん» aaaooo様 素敵なお言葉をありがとうございます。伝えたい🐿さんが届いているようで嬉しいです!もっと読みたい、そう思ってもらえる作品を綴っていくのでよろしくお願い致します♡ (2021年9月27日 16時) (レス) id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:am | 作成日時:2021年8月22日 14時