【HQ!!】地味なあの子は隠し事をしている。

21.沼ってやつ(Arata side) ページ23

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Arata side







そんな時、SNSのある投稿が目に止まる




[1回聞いてみてください！！

中毒性ある声で絶対にハマります！ちなみに俺は涙腺もってかれました笑]





有名な歌手のそんなツイートが気になり、添付されていたURLをクリックしてみた





シンプルなサムネイルに聞いた事のない名前、有名な歌い手ではないことは明白だ



投稿日は昨日、しかし既に再生回数は100万回に近く、急上昇ランキング1位となっていた




俺はイヤホンを耳につけ、少し緊張しながらもその動画の再生ボタンをクリックした






最初のフレーズを聞いてすぐに、驚きのあまり鳥肌が止まらなかった




今まで聞いてきたどんな声よりも透明感があり、少し聞くだけで惹かれる声をしていた



音域は広く、男性か女性かは分からないが、どの音もとてつもなく綺麗な発声




そして何より、歌い方が素人のそれとは全く違った。まるでそれが"自分のための歌"かのように歌ってみせるじゃないか








『…見つけた、』




「え？どうしたんですか新田さん、」








隣にいた後輩が少し引いたような声でこちらを見てきたが、今の俺はそれどころじゃない





こいつの歌は、もっと多くの人に聞かれるべきだ。歌手として、デビューするに相応しい人材だ。






俺は直ぐに概要欄にあったSNSのアカウントへと飛び、DMを送るためにキーボードを叩く







[＿＿＿もし歌手として活動に興味がある様でしたら、事務所にて貴方様を支援したく思います。＿＿＿]








『…よし、と』





「新田さんどうしたんですか？随分にこにこしてますけど…



あ、もしかして明日の合コン行く気なりました？


新田さん顔いいんだから、一緒来てくれたら絶対ゲットできますって！俺を救うと思ってお願いしますよ！」




『うるせーな、行かねえって言ってんだろ


こっちはそれどころじゃないんだ、お前も仕事しろ仕事』








しっしっと手で追い払えば「ノリ悪いっすよー」と言いつつも机に戻って行った。…俺ってノリ悪いのか？いや、至って普通だろ、うんきっとそうだ、




俺もデスクに向き直り、もう一度先程の動画を再生する




聞けば聞くほどに魅力を感じる声だ





再生回数はこの短時間で既に2万回増えていた。恐ろしいスピードだな…





ぐい、と1度伸びをする





こいつは絶対に俺がデビューさせてやる







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