2.意図 ページ3
初めて会った時はこんな人じゃなかったのに。
「はじめまして、小田Aです。今日からこの球団の裏方として、微力ですが精一杯頑張ります、」
選手と一緒に仕事をする一発目にしては少し荷が重すぎる我が球団のイケメン二人組が「よろしくー」とニコニコ笑っていた。
二人とも私のへっぽこ仕事に文句も言わず、その案件は難なく終えたのだ。
いつからだったかは全く覚えていない。突然でもなく、きっといつの間にか西川選手は私に対してものすごく冷たい態度を取るようになっていた。
私何かしたっけ?上沢くんに聞いて、探りを入れてもらっても「分かんない、謎、でも小田が何かやらかしたわけじゃなさそう」としか分からず、ため息をついたのは記憶に新しい。
すれ違ったら舌打ちされたこともあるし、仕事で一緒になっても必要最低限しか口を聞いてくれない。
個人的にも傷つくし、仕事もやりにくいし、私に悪いところがあれば直してちゃんと話せるようにはなりたいんだけど……
上沢くんに伝言があってロッカールームに向かっていた。近づくと話し声が聞こえる。
「遥輝、もうちょっと小田ちゃんにちゃんと接してあげなよ」
ガヤガヤとするロッカールーム。う、うわー。それ以上近づくことができずに私は歩みを止める。
「嫌ですよ、なんであんなブスでノロマな奴と」
「え、小田ちゃん可愛いし仕事できるやん、何で」
完全に思考と動作がストップする。
「あれ、小田何やっとんのこんなところで」
どうすればいいかも分からなかったところに後ろから上沢くんの声が聞こえて、やっと我にかえった。外から帰ってきたらしい
「上沢くん、ちょうどいい所に、あの、例のアレについてなんだけど」
「例のアレって 笑」
「いや、そうじゃなくて、アレだよアレ」
ははは、と上沢くんが笑っているところにガチャ、とロッカールームの扉が開いた。
そこに目をやって、私は石のようになってしまう。ここで西川さんか……
彼は私と上沢くんを一瞥してからこう言った。
「色目使って媚び売ってる暇あったら仕事すれば」
くるり、と方向を変えて反対側の廊下に消えていく西川さんの後ろ姿を呆然と見つめる。上沢くんが何か声をかけてくれてるけど、どうしても返事ができない。
西川さんは何を考えているのだろう。何で私が嫌いなのだろう。答えをどこに求めてもずっと平行線を辿るばかりだった。
(私に向けられたあからさまなノーの気持ち)
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Miyu - とても面白かったです!!続きはまだでしょうか!!楽しみに待っています (2018年7月31日 10時) (レス) id: 6001d11beb (このIDを非表示/違反報告)
聖也(プロフ) - おりか様と風宮様とか最強タッグ過ぎてもう泣 とりあえず作中の西川さんが現実味がハンパないですね。文春かよ好き… (2017年11月17日 1時) (レス) id: 34ecd099f6 (このIDを非表示/違反報告)
風宮(プロフ) - あーちゃむ_さん» 嬉しいお言葉恐縮です!ありがとうございます! (2017年11月13日 2時) (レス) id: b612ad788d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃむ_(プロフ) - はじめまして! いつも楽しく読ませていただいてます! こんな西川選手がいたらと思ってた西川選手が出てきて1人で興奮してました笑 なにより言語が豊富、というか、表現が上手、というか…読んでいて描写がすごいわかりやすくて…!更新楽しみです!頑張って下さい!! (2017年11月13日 2時) (レス) id: 84197ee7ff (このIDを非表示/違反報告)
おりか(プロフ) - いーさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年10月27日 21時) (レス) id: f2eb7c3b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりか&風宮 x他1人 | 作成日時:2017年10月6日 16時