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1.恋 ページ2

球団職員である私は裏方として選手をサポートする仕事をしている。

今も試合終了後に投げ入れるサインボールを書いてもらうために忙しなくベンチ裏を駆け回っていた。


「あーーミスったー!!!」


聞こえてきた声に思わずぎょっとしてしまう。


「なにしてんのお前 笑
サインに間違える要素ないやろ 笑」

「サインやなくて日付ミスったんすよ」


新しいの貰ってこよ、と裏に来る気配を感じて咄嗟に回れ右をする。


「あ、小田さーん!
これ、インク出ないんですけど〜〜」


そう言いながら呼び止めて来る巨体に、
そんなん他の選手から借りろや!!と出かかった言葉を飲み込む。

はい!と素早く新しいペンを渡して去ろうと一歩を踏み出す。


「お、翔平〜!」

「遥輝さん。どうしたんすか?」

「新しいボール欲しいんやけど」

「俺に言わないで下さいよ 笑」


ですって、小田さん。と振ってくる大谷くんに顔が引きつる。


「あ、居たん。ボールください」


さも 面倒くさい、というような表情で手を出してくる西川さん。

どうぞ、と渡せば何故かニヤニヤしている大谷くん


「大谷くんなにかな?」

「いや〜?なんもないっす」


ボールを受け取った西川さんはひと言「イチャついてないで、ちゃんと仕事し」とベンチへ戻っていく。


いや、イチャついて無いし。


「て事なんで、私は仕事します」


ひとり変顔している大谷くんは放っといてベンチ裏を後にする。

モニターに映るのは西川さんと中島さん、人気のはるたくコンビだ。


さっきの機嫌の悪そうな顔とは打って変って楽しそうに中島さんとお喋りをしている西川さん


何故だか、西川さんは私に当たりが強い。

いや、当たりが強いというか、とにかく私と話すときは毎回めんどくさそうな顔をしている。


球団職員として彼に何か迷惑をかけた覚えはもちろん無い。

それでもああいう態度を取られると私も萎縮してしまうようになって、自然と西川さんを避けるようになっていた。



「はぁ、」と漏れたため息の熱さにはまだ気づかない。



(気づかぬ内に、落ちていく)

2.意図→←0.prologue



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Miyu - とても面白かったです!!続きはまだでしょうか!!楽しみに待っています (2018年7月31日 10時) (レス) id: 6001d11beb (このIDを非表示/違反報告)
聖也(プロフ) - おりか様と風宮様とか最強タッグ過ぎてもう泣 とりあえず作中の西川さんが現実味がハンパないですね。文春かよ好き… (2017年11月17日 1時) (レス) id: 34ecd099f6 (このIDを非表示/違反報告)
風宮(プロフ) - あーちゃむ_さん» 嬉しいお言葉恐縮です!ありがとうございます! (2017年11月13日 2時) (レス) id: b612ad788d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃむ_(プロフ) - はじめまして! いつも楽しく読ませていただいてます! こんな西川選手がいたらと思ってた西川選手が出てきて1人で興奮してました笑 なにより言語が豊富、というか、表現が上手、というか…読んでいて描写がすごいわかりやすくて…!更新楽しみです!頑張って下さい!! (2017年11月13日 2時) (レス) id: 84197ee7ff (このIDを非表示/違反報告)
おりか(プロフ) - いーさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年10月27日 21時) (レス) id: f2eb7c3b81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おりか&風宮 x他1人 | 作成日時:2017年10月6日 16時

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