【男主】コノハ似の少年は、記憶喪失で会者定離を知った。【カゲプロ】

days5−summer time memory ll ページ5

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「マリー、花瓶割っちゃったんだってね」

多面相の猫目少年…カノ。
カノ君はこの様にヘラヘラとした表情で、掴み所の無い性格をしている。
だがしかし、人一倍仲間思いで涙脆い。Aが居なくなった時も真剣に街を探し、隠れた所で泣いていたのだ。

自分は良にも悪にも、電子製品には干渉することが可能だ。その時は丁度、デジタル時計にでも入っていた事だろうか。

泣いているカノ君を、セト君は良く宥めていた。昔は立場が逆だったらしいのだ。想像が少々出来ないが、過去と言うのは予想以上に現在とリンクし難い物なのだろう。

「うう………お気に入りだったのに……」

マリーちゃん。良くてドジ。
悪い方に行くと、最早フラグ回収早めの草刈り機と化してしまう。
しかし、この少女こそがカゲロウデイズに大いに関係する存在らしい。

普段の立ちふるまいから見ると、到底解るまい。童話や神話の中から飛び出してきた様な幼い少女だ。
そんな少女を泣き止ませるのは案の定、セト君だった。

「ご主人、目が死んでます」

ご主人の体力皆無さ、それは凄まじい程に貧弱だった。暑さにやられるとはいえ、外に出てからほんの五分。
恐らく私でもそんな風にはやられない筈。
そしてご主人の目が死んでいるのは毎度の事だ。

「煩いな……」

ご主人は目を細めて遠くを見ていた。
その目は次第に大きく開き、何か異色な物でも視界に入った様だった。

＿次の瞬間、自分は目を疑った。

「A……！？」

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