□非可逆的 / 白黒無常 ページ10
元は実録。甘さ控えめ。
□■□■
怪我をしてしまって暫くゲームを休んでいた。
二週間ぶりの待機部屋は変わらず陰鬱な雰囲気だが、このどこからか流れてくる不気味な音楽妙に安心してしまう。
奥からウィラ、カヴィンさん、一席開けてマーサと座っていて、どうやら私は最後だったみたいだ。
急いで椅子に座り、ああそうだと既に四人分が押されている準備完了ボタンを押す前に口を開いた。
「久々ですが精一杯頑張ります。よろしくお願いします」
他三人からの返事を聞きつつ、準備完了ボタンを押す。
そのまま意識が落ちてゲームが開始する、かと思いきや、ハンターさんの準備完了ボタンが外されたようだ。
不思議に思っていると不意に背後に気配がして、はっとして振り返るとそこにはスーツを着た必安が居て。
至近距離の御尊顔に「はわぁ……」なんて変な声を漏らしてしまう。隣のマーサは「レクイエム……」と小さく呟いている。
チラリと目が合った必安が、そっと笑みを深めた気がした。
ぱりん。硝子の割れる音と同時にゲームが開始する。今回のマップは赤の教会らしい。
優鬼だろうか。訪問されたといっても一概にそれだとは言えないが、久々のゲームという事で少しワクワクしていた私は無意識にハンターが居るであろう墓場へ向かって足を進めていた。
ドクン、という心音に我に返り慌てて姿を隠す。
私は、何をやっているんだ。最初から地雷を踏みぬくつもりなのか。パン、と頬を叩き気合を入れ直す。幸い必安は私の姿を捉える事無く、どこかへ行ったらしい。そのまま墓場の暗号機を回す事にした。
仲間と定型文で場所を確認し合いながら進めていくと、突然脈打つ心臓。まさか、こんな早くに彼の開始地点に戻ってくるなんて。完全に油断していて、足跡が残るのも気にせず走り出した。
「あぁ、そこにいましたか」
「必安…!」
本当に久々のチェイスというものは初心者同然で。いや元々チェイスは出来ない方なのだけれど。
必安の方を向きながら走ると墓の少し飛び出した墓石に躓いてしまい、そのまま一撃を貰ってしまった。
「っ、ん、ぐ…」
「チェイスはハンターを見てしろ、なんて事を耳にしましたがAには向いていないですよね」
Aはもっと他の方法を見付けた方がいいと思いますよ。なんて言いながら板の読み合いに負けてしまった私を彼はダウンさせた。
目の前に、星が、ちかちか。
ぽとり。
「……?」
監視者が、目の前に落とされた。
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yuki maki(プロフ) - Twitterフォロー失礼しまーす (2022年5月1日 17時) (レス) id: 6c4d3fd2ca (このIDを非表示/違反報告)
名無してゃん - 人外シリーズ待ってましたっ!ほんとに楽しみにしてたので嬉しいです(´˘`*)ありがとうございます(´˘`*) (2020年12月23日 18時) (レス) id: 256c8decd9 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - ハルさん» 閲覧、コメントありがとうございます。私の他にも同じ感性(?)性癖(?)の人がいて嬉しいです(´ω`*)尊いとまで言って頂けて…!嬉しみの極みでございます…!こちらこそありがとうございます…! (2020年2月18日 1時) (レス) id: a8cecf9880 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 人外シリーズ好きです。尊いです。有難う御座います。 (2020年2月12日 13時) (レス) id: ca92ab3e55 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 黒いロシア帽さん» 閲覧、コメントありがとうございます〜。つまり禿げですね(((そう言ってもらえてとっても嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります! (2020年2月3日 15時) (レス) id: a8cecf9880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊歩 x他1人 | 作成日時:2019年11月17日 22時