検索窓
今日:3 hit、昨日:12 hit、合計:188,268 hit

□ないものねだり / 探鉱者 ページ6

「あっ、ノートンさん!おはようございます!」
「Aさん、おはよう」


朝、食堂へ入ってすぐに僕に駆け寄ってくるのを見ると彼女にとって僕は相当な存在らしい。

Aさんと同性で一番仲の良いナイエルさんも最初こそ「本当にキャンベルさんが好きなのね」なんて穏やかに笑っていたが今は少し冷ややかな視線を向けられるほどだ。うーん、僕も意図してこんなに好かれたわけじゃないのだけれど。


「おはようA、あっちで食べましょう?」
「あ、おはようウィラ。じゃあ、失礼しますね、ノートンさん」
「うん」


荘園に来る前は女優だったというAは、僕への好意を一切隠せていない笑みを浮かべて去っていった。

彼女とはまた違う意味の明る笑顔を浮かべているウィリアムがナワーブの肉を横取りしつつ揶揄う。


「本当に、告白される未来も近そうだなぁ?」
「おいウィル」
「はは、それは……困るなぁ、うん、非常に困る」
「なんでだよ?あんな美人に惚れられて羨ましい限りだぞこの野郎」
「おいこら、肉返せ」


きっとウィリアムには分からないだろうね、とケロイドのせいで皮膚が引っ張られ上がってしまっている口角を不器用に吊り上げた。

サラダにスープ、パンを食べて肉をナワーブに差し出す。肉はあんまり好きじゃない。思い出すのは火薬の臭いと痛む体、発狂したくなるほどの暗闇ばかりだから。

食堂に漂うにおいにすら吐き気を感じていれば隣に、また笑顔の素敵な彼が座った。


「今日のゲームは僕とノートン、Aにウィラだってさ!」
「ふぅん、凄い組み合わせだね」
「だねぇ、初めての面子だよ!」


わくわく、と楽しみにしている雰囲気を纏わせながらマイクがパンを頬張る。それから向かいの席で繰り広げられている僕があげた肉の取り合いを見てケラケラ笑った。

/→←□a mement mori / 傭兵



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (317 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1252人がお気に入り
設定タグ:第五人格 , IdentityV , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

yuki maki(プロフ) - Twitterフォロー失礼しまーす (2022年5月1日 17時) (レス) id: 6c4d3fd2ca (このIDを非表示/違反報告)
名無してゃん - 人外シリーズ待ってましたっ!ほんとに楽しみにしてたので嬉しいです(´˘`*)ありがとうございます(´˘`*) (2020年12月23日 18時) (レス) id: 256c8decd9 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - ハルさん» 閲覧、コメントありがとうございます。私の他にも同じ感性(?)性癖(?)の人がいて嬉しいです(´ω`*)尊いとまで言って頂けて…!嬉しみの極みでございます…!こちらこそありがとうございます…! (2020年2月18日 1時) (レス) id: a8cecf9880 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 人外シリーズ好きです。尊いです。有難う御座います。 (2020年2月12日 13時) (レス) id: ca92ab3e55 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 黒いロシア帽さん» 閲覧、コメントありがとうございます〜。つまり禿げですね(((そう言ってもらえてとっても嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります! (2020年2月3日 15時) (レス) id: a8cecf9880 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:遊歩 x他1人 | 作成日時:2019年11月17日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。