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「ふふ、こう見えても
「…、じゃあこんな人間の食べ物を食べに来なくても…」
「うん?折角なら美味しいものを食べたいじゃないか!それにAの手料理はそこら辺のお店よりも美味しいから、何度も食べたくなってしまうんだ」
背中の羽をもぞもぞ動かしながらそう言ったイライさんは、少し恥ずかしそうだ。
真っ直ぐな褒め言葉と彼の照れたような態度に私まで恥ずかしくなってしまう。それを隠す為にフライパンに意識を集中させた。
「……狩りが得意なら、次から何か食材を持ってきてよ。毎回タダ飯じゃ私の財布がすっからかんになっちゃうもん」
「え、いいの?」
「え、逆にダメな理由が?」
「……あぁ、そうか。人間と僕らじゃ示し方が違うのか」
少しの沈黙と思考の後にぽつ、と小さく呟いたイライさん。
パッと顔を上げた彼の表情はどこか満足気で、獰猛だ。
「じゃあ次から狩ってから来る事にするよ。確認だけど、持ってくればAは絶対に受け取ってくれるんだね?」
「う、うん…?受け取るけど…?あっ!虫とかは無理だからね!それと、イライさんが捌くの手伝うことが条件!」
「〜〜っ!!分かった!次は必ず持ってこよう!」
それから何度かイライさんが狩った獲物を片手にやってきた。それを何度か繰り返したある日、同僚にこの事を話せば心底驚かれた。私も驚いた。
「はぁ!!?梟の獣人から狩った動物を受け取った!!!?」
「え、うるさ」
「アンタねぇ!!それ、求愛給餌って言って!!鳥類の求愛行動よ!!?」
「は!!?初耳なんだけど!!?」
「しかも裁判にもなってる事例よ!!受け取ってくれたのに結婚してくれないって主張する獣人側と求愛給餌を知らずに餌を受け取ってた人間側で!何度も!!!」
「それも初耳なんだけど!!」
なんて昼休みに騒ぎまくり、上司に怒られた。いやでも仕方ないでしょ!?求愛給餌なんて知らないよ人間だもの!!
その日の仕事が終わり帰りの電車の中。同僚からメッセージが送られてきた。
『悲報、今までの裁判は100%獣人側の勝ち。Aも腹括って梟くんと結婚しな』
なんてこった!!!最早取り返しのつかない事になっていたのだ!!!!
□■□■
このシリーズ案外ハマるなぁ…現状一番好きです。人外最高。
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yuki maki(プロフ) - Twitterフォロー失礼しまーす (2022年5月1日 17時) (レス) id: 6c4d3fd2ca (このIDを非表示/違反報告)
名無してゃん - 人外シリーズ待ってましたっ!ほんとに楽しみにしてたので嬉しいです(´˘`*)ありがとうございます(´˘`*) (2020年12月23日 18時) (レス) id: 256c8decd9 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - ハルさん» 閲覧、コメントありがとうございます。私の他にも同じ感性(?)性癖(?)の人がいて嬉しいです(´ω`*)尊いとまで言って頂けて…!嬉しみの極みでございます…!こちらこそありがとうございます…! (2020年2月18日 1時) (レス) id: a8cecf9880 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 人外シリーズ好きです。尊いです。有難う御座います。 (2020年2月12日 13時) (レス) id: ca92ab3e55 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 黒いロシア帽さん» 閲覧、コメントありがとうございます〜。つまり禿げですね(((そう言ってもらえてとっても嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります! (2020年2月3日 15時) (レス) id: a8cecf9880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊歩 x他1人 | 作成日時:2019年11月17日 22時