【第五人格】愛に溺れんとして【短編集】

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「わたしの、きもちなんかしらないで、いつもいつもいつも…」
『あぁ、泣かないで。今日の事は謝ります、すみませんでした』


上下に揺れる。階段を上っているらしい。そっと顔が近づき、額にキスが落とされる。


「そのくせ、わたしがナワーブといたらおこるのに、ふびょうどうだ」
『あなたの嫉妬した顔が見たかった。いつも笑顔のあなたがどんな表情を見せてくれるのか、気になってしまった』
「ぅううう、なにいってるかわからない」


つらつらと話されても、脳にはいかず耳から耳へ通り抜けるだけだ。

どこかのドアを開ける音がして、それから閉まる音、鍵がかけられる音がした。私の部屋かな、でも、この匂いは、ジャックの部屋？

じっとしていればベッドに下ろされて、ああやっぱりジャックの部屋だ。だって私のベッドはこんなに大きくないから。

頬を撫でる手にすり寄っていれば彼が離れていく気配がして、寂しさに咄嗟に手を掴む。振り向いたジャックが安心させるように頭を撫でた。


『水を持ってきます。眠るのは我慢してくださいね』
「や、いかないで」
『大丈夫ですよ、すぐに戻ります』
「ん、ぁ」


触れ合うだけのキスをされる。浮気か、これから浮気をするからその前払い贖罪なのか。いや本当に彼が浮気するとは思っていないが、どうしても不安になるのは仕方ないだろう。だって！！今日のゲームがあんなのなら！！

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