□猫被り / 納棺師 ページ13
高層ビルが乱立している都会のど真ん中。人間の方が多く暮らしているここでは獣人はまだまだ不信の目で見られる。
ちら、ちら、とすれ違う人間の視線を獣人である証拠の耳と尻尾に集めながら、仕事場に逃げるようにして入れば僕の疲れた顔に気が付いた彼女がくすくすと笑った。
「おはようイソップくん。今日もお疲れだね」
「おはようございます、Aさん。もう、どうして人間は自分と違うだけで嫌忌感を持つのでしょうか…」
「嫌忌というか、興味だよ。今は昔よりも獣人への嫌な印象は無くなってると思うけど」
「僕が働けているのもそのお陰でしょうけど……何とも言えませんね」
今日の予定を確認しつつブラシで髪の毛並みを整えていれば始業時間になる。
じゃあ今日も一日頑張ろうね、なんて言って受付と事務業務に取り掛かり始めたAさん。彼女の笑顔で何でも出来るような気分になるのは、僕が彼女に惚れているからだろう。
人間獣人関係なく人と関わるのが苦手な僕は先輩とペアで
今日も一人の葬儀が行われる。
悲嘆に暮れる遺族は僕の耳や尻尾に目を向けるが、すぐに視線を落とし涙を流す。それはそうだ。肉親が死んだというのに獣人云々と考えている暇はないだろう。
御遺体の体を清め死装束を着せ死化粧を施していけば、あっと言う間に眠っているかのような姿になる。まるでまだ呼吸をしているみたいなその姿に遺族が更に目を潤ませた。
納棺し終わると、そっと一人の老婦が近づいてくる。
「ありがとうございます、ありがとうございます。あの人がこんな風に……こんな綺麗にしてもらって、きっと喜んでます」
「……ご冥福をお祈りします」
ぺこりと頭を下げれば、老婦はもっと深く頭を下げてきた。どうしたらいいのか分からなくて内心慌てていればAさんが駆け寄ってきてくれて、僕の変わりに対応してくれる。
「すみません、僕が不慣れなばっかりに…迷惑を…」
「いいのいいの、遺族の方の対応は私で遺体の方の対応はイソップくんの担当だからね」
「…ありがとうございます」
ゆら、とAさんに巻き付こうとする尻尾を必死に自制した。
□■□■
本当はこの後の老婦の孫(20代チャラ男)が来て葬式中にも関わらず進行役(受付?)を務める夢主ちゃんをナンパしてイソペが助けに入る話が書きたかった。無理だった。
猫要素いらないなこれ。というか長編化しt((文字数
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yuki maki(プロフ) - Twitterフォロー失礼しまーす (2022年5月1日 17時) (レス) id: 6c4d3fd2ca (このIDを非表示/違反報告)
名無してゃん - 人外シリーズ待ってましたっ!ほんとに楽しみにしてたので嬉しいです(´˘`*)ありがとうございます(´˘`*) (2020年12月23日 18時) (レス) id: 256c8decd9 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - ハルさん» 閲覧、コメントありがとうございます。私の他にも同じ感性(?)性癖(?)の人がいて嬉しいです(´ω`*)尊いとまで言って頂けて…!嬉しみの極みでございます…!こちらこそありがとうございます…! (2020年2月18日 1時) (レス) id: a8cecf9880 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 人外シリーズ好きです。尊いです。有難う御座います。 (2020年2月12日 13時) (レス) id: ca92ab3e55 (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 黒いロシア帽さん» 閲覧、コメントありがとうございます〜。つまり禿げですね(((そう言ってもらえてとっても嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります! (2020年2月3日 15時) (レス) id: a8cecf9880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊歩 x他1人 | 作成日時:2019年11月17日 22時